Inventing Japan: 1853-1964 (Modern Library Chronicles)
価格: ¥1,348
決して分量は多くないものの、充実した内容を持つ洗練されたこの1冊の本で、著者のイアン・ブルマは日本の歴史上で最も運命的な時代、すなわち、それまでどこの国も経験し得なかった劇的な変革の嵐に見舞われた時期を鋭く観察している。マシュー・ペリー提督が黒船で来航してからわずか100年足らずの間に、鎖国令を敷く幕府の統治下にあったこの島国は、軍部による独裁を許した結果、アジア地域でイギリス、フランス、オランダ、そしてアメリカの帝国主義勢力を駆逐するまでに至った。その後、大戦によって焦土と化したものの、結局はアメリカの占領政策の下で西欧を真似た民主主義スタイルが根づき、奇跡的な経済復興を遂げている。
この小さな島で成り立った国家を世界の舞台へと激しく突き動かした激動の変革は、一体どのように説明できるだろうか。イアン・ブルマが論じるのは、一つには、既に圧倒的な支配力を誇る西欧の列強に追いつこうとするには、ドイツやイタリアがそうであったように、新興連合国家の一つとしてたどらなければならない過程であったとする説。こうしたプロセスには、外に向けられた植民地の拡大主義に加え、国内における文化的統合や共有遺産の創造なども含まれる。しかし、日本の場合は常に、優れた思想を取り入れることには顕著な寛容さを示すと同時にそこから受ける影響を排除することが著しく厄介であるという、ある種の双極性障害を抱えており、それが劇的な結末へと導き、今日に至るまでこの国の奥深くに内包されている。なぜ日本人が多くのアメリカ人の目にとてつもなく奇異に映るのかを1冊の本で理解するには、この『Inventing Japan』こそが最適の書である。