良書
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岩波テキストコース砂川電磁気を読んだ私が薦められたのがこの1冊でした。
この本の良さなどは他の方が挙げられてるとおりで、大変理解しやすく、また表現に適した記号を用いてわかりやすいです。たとえばsourceからの相対ベクトルx-x'を筆記体のr一文字で表すなど。これらのお陰で、他書では煩雑してるLienard-Wiechert電磁場(運動してる点電荷による電磁場)の表式がスッキリして見えます。
学部最低限の電磁気学を網羅されていて1冊目か2冊目にはもってこいかと。
ただ、演習が豊富なのはいいのですが解答がないのが辛いです。これは著者の意向らしいのですが、私は頭がいい方ではないので何度となく投げ出しそうになりました。
特に、重要な定理や結論が演習になっていたりするので、意味のわからないままになってしまう人がいる可能性があるかと思われます。
逆にこのために必死に勉強したので、一概に悪いとは言えません。
標準的教科書
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Halliday/ResnickとJacksonの間をつなぐ学部3、4年用の教科書で、アメリカではこの本が圧倒的な割合で採用されています。レベルは日本の一般的な教科書に比べてかなり高いのではないかと思います。序文によると、この段階で扱う内容とその順番にはほぼ合意が成立していて、教科書の特色が出せるのは記述のスタイル位だそうです。著者はなるべく親しみ易いものにすることを心がけ、そのためこの本では文章を一人称の口語調で書いてます。そして身近な例を使った喩え話が随所に挿入されています。電子が運動するときに引きずっている電場をゴミトラックに群がるハエに例えているのには笑いました。理論志向が強く応用的な例題はありません。新しい話題も積極的に取り上げていて、たとえばクーロンの法則とビオ=サバールの法則を時間依存性のある場合に拡張したJefimenkoの方程式を紹介しています。本書の特徴は分かり易いということが一番ですが、面白さ、厳密性など色々な面でのバランスが良くとれています。Purcellの名著をふつうの教科書の形で再現するのに成功したと形容できるのではないかと思います。
学生たちの評判は非常にいいです。しかし一方では数学的な基礎付けが不十分とか研究の現場で実地に使えるような計算方法が身につかないとか言う人もいます。そういう人たちに評判がいいのはWangsnessの"Electromagnetic Fields"で、これも検討してみるといいと思います。
演習問題に解答はなく、別売りのSolution Manualも一般の人は入手できないようになっています。でも本文をきちんと読んでいればほとんどの問題は解けると思います。また実際に解かないにしても、問題はすべて目を通しておいたほうがいいでしょう。
電磁気の基礎を記した隠れた名著!!
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このテキストは大きく二部から構成されていて、第一部では電磁気からマクスウェル方程式への流れ、第二部ではマクスウェル方程式からゲージ変換を経て特殊相対論へという基本に忠実な展開で構成されています。特にこのテキストでは、電磁気学の理解はベクトル解析の理解と非常に密接に関係していることを考慮して、第一章にベクトル解析の章を設けていてまた付録にもベクトルに関する諸定理について詳しく述べるなど、基礎となるベクトルの知識を得易くそれによりその後の議論も理解し易いような構成になっています。また、例題も多く、解説も詳しく書いてあるので、これ一冊でかなりの部分を網羅できると思います。さらにグリフィスは言葉による説明を非常に簡潔に述べるので、英語が多少苦手な人でもそんなに苦にならずに読めると思います。電磁気学について記したテキストには名著が多いとされていますがこのテキストも間違いなくそれらに肩を並べる一冊であり、入門書として間違いなく役立つ一冊であると確信します。