統計学の様々なエピソードを数式なしに紹介
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今から20年以上前に、日科技連の医薬品に関する統計の研修を1週間受けたことがあります。なかなかハードな内容でした。PC-9801を使って、Basicでプログラムを組んだりしていました。Fischerの直接確率など次元が上がるとお手上げで、もっぱらχ2乗検定を用いていました。
今では自分で検定したりすることはありませんが、当時の経験が論文などを読む時に「これは変」ということがわかったりします。
本書は統計学の様々なエピソードを数式なしに紹介してくれます。その背景がわかることで、「だからこの場合にはこの検定を用いるのだ」という理解にもなります。最近みかけるようになった「ITT(intent to treat)」という概念もすんなり飲み込めました。
数学と現実を結びつける最初の事例が紅茶婦人というのも印象的です(訳者は状況が違うかもとしていますが)。
以前、会社で新入社員研修をしていたとき、「5%の有意水準」を理解させる時には、「私は抛り上げたコインの裏表を自在に操れる」という仮説を示し、何回連続して表を出せば信じるかという方法を用いていました。
いずれにしても、一寸統計をかじった人間にはとても面白く読めました。