自分の住む土地に、誇りを持っているだろうか?
★★★★★
みんな、村から離れていった。
でも、55人の村人と、ひとりの青年はこの地に住み続ける。
村にある、泉を守るために。
いのちとともに借りた泉の水を、この地に還すために。
そんな地に住む人たちが、うらやましかった。
水を還したいと思える、そんな地に私も住みたい。
そんな愛情と誇りを、自分の住む大地に持っていたい。
はたして今のこの国で、それだけの想いを持てるだろうか?
静かで美しい写真の数々が、読む者に問いかけてくるものは深い。
静かな感動。
★★★★★
チェルノブイリに非常に近い所にある小さな村。その生活を、アレクセイという三十代の青年を中心にモノクロ写真で追った本です。
村人たちの生活は質素で、殆どが老人ばかりですが、とても穏やかで、美しい。村人たちが村の中心にある泉を大切に使うその気持ちが日本の私にも伝わってきます。
多くを主張しない写真ばかりですが、なぜかとても心に響いて、余韻を残させてくれます。
お勧めできます。
生と死のコントラスト
★★★★☆
著者の「ナジェージダ」という写真展を観て購入。この、写真集ですべてが表現されるわけでは無いが、チェルノブイリ原発事故という「死」と、事故後のある村で、今もこんこんと涌く泉を取り囲み生活する村人達に象徴される「生」とのコントラストが浮き彫りになる。この写真集からは、現代人にとって熟慮すべき様々な文脈が読み取ることができる。その他、チェルノブイリ3部作として「ナージャの村」、「無限抱擁」のタイトルがある。