インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

The System of the World: Volume Three of the Baroque Cycle (P.S.)

価格: ¥1,410
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Harper Perennial
Amazon.co.jpで確認
圧巻のラスト。「バロック・サイクル」シリーズ最終巻。 ★★★★★
第一巻で王政復古期から名誉革命までの時代を背景に科学と錬金術の世界を描き、第二巻では名誉革命以降の17世紀末を舞台にした経済小説・冒険小説ともいえる世界を繰り広げてきたシリーズ最終巻は、第二巻の次の時代、アン女王治世下の1714年が舞台である。
この時代のイングランドは、世界史的にはスコットランドを併合し「大ブリテン王国」が成立し、また海外ではルイ14世のフランスを破り、七つの海を支配する大英帝国の足がかりを作っていったのだが、一方で国内では、この年アン女王が後継者を残さぬまま死去しステュアート朝は断絶、それを見越して次の王位継承者をめぐりジャコバイト(名誉革命で追われたジェームズ二世の息子を擁する勢力。ルイ14世と結んでいる)、遠戚であるドイツのハノーヴァーをそれぞれ押すトーリー、ホイッグ間の議会闘争が巻き起こっていた。これに絡み、ニューイングランド植民地(アメリカ)へ渡っていたダニエル・ウォーターハウスはイギリスに呼び戻される。着いた早々に爆弾で狙われたダニエルは、真の標的は造幣局長官として苛烈な贋金取締りを行なっていたニュートンだったのではないかと推理し、調査を開始する。造幣局長官としてのニュートンの最大の敵は、かつて「キング・オブ・ヴァガボンド」と呼ばれていたが、今は愛するエリザを盾に取られ、イングランドの政争がらみで「贋金作りのジャック」として暗躍しているジャック・シャフトーだった。ジャックを執拗に追うニュートンだったが、一方でニュートン失脚を望む者たちが、ジャックを利用して罠を仕掛けていた。
ラスト100ページほどは是非自分の目で結末を確認してほしい。3000ページ近くにもわたる大河小説(?)の幕切れにふさわしい。
ちなみにタイトルは、ニュートンの有名な著作「プリンキピア」の第三部のタイトルですが、造幣局長官としてニュートンが行なった大改鋳に象徴される新しい資本主義経済のシステムであり、またニュートンと対立するライプニッツの思想体系であり、この激動の時代の後に確立する模範的なイギリスの議会制度という政治システムであり、いずれも17世紀の危機の時代、バロックの時代を通じて形成された、新しい世界のシステムという、シリーズ全体を象徴するものと思われる。まさに最終巻にふさわしいタイトルと怒涛の展開だった。