本書では、ロックフェラーの評伝『タイタン』に書かれている「ビジネスを成功に導く3つの習慣」を軸に、米国の急成長企業を事例に挙げながら、実践的なアイデアを説いている。著者のヴァーン・ハーニシュは、米国大手企業の経営相談に携わった実績を持つほか、急成長企業支援のエキスパートとして、経営セミナーを主催している人物。理論重視というよりは、何をどうしたら良いのかといったアイデアやツールをまず提示し、理論で裏付けしていくというスタイルの文章であるため、企業を成長させるために必要なポイントが手に取るように分かる内容になっている。
特筆すべきは、第2章と第3章にまとめられている、ビジネスの基礎的な仕組みと企業価値の高めかたを理解するためのモデル図や戦略計画図。視覚的に入り込みやすい図表であるため、作成者だけではなく、社員全員の意志の統一にも使える。また、後半部分にまとめられている会議の重要性に関する著述も必見である。とかく小規模な企業においては形式的な会議を敬遠する風潮があるが、本書では、毎日、毎週、毎月の会議でリズムを作ることを勧めている。
企業を成長させるためのエッセンスが凝縮されている本として、業種に関わらず、スタートアップ時の経営幹部すべてにとって参考となるだろう。(朝倉真弓)