"いますぐ恋愛術を役立てたい"と焦っているかたには不向きだが、のんびりと読んでいるうちに、いくつかのトピックスが"ああなるほどね"と思いあたるのだ。
結果として私には"役に立つ本"となった。
日本でいうところの「運命の人」
著者によればフランスではそれにあたる表現は、「私の人生の人」という表現をするらしい。
英訳すると The man of my life となる。
これはなかなか言い表現ですね。
運命の人 ・・・ ビビビッと来ました、理想の人はあなただったのね。
この展開で進んだら、聖子ちゃんでなくても理想と現実のギャップでがっかりするのは目に見えている。
「私の人生の人」は、実に「言い得て妙」ではないですか。
「フランス人の恋愛」とあるけど、正確には彼女自身とその周囲の恋愛観をつらつら述べているにすぎない本です。「ある日仏ハーフの恋愛価値観」とか「佐藤絵子の恋愛云々」とかなら文句はないんですが。まあ日本では「フランスの」とか付けた方が物が売れるのは解りますが、あたかも「これがフランス式の洗練された恋愛だ」と言わんばかりの文体はどうでしょうか。
私のパートナーのフランス人にこの本に書いてあることを言ったら驚いてました。
妙に打算的な恋愛の「分析」に始まり、相手の「真価」の見分け方、パートナーと別れるとき自分が罪悪感を感じなくても済むように相手に別れを切り出させる「いやがらせ」の方法(「セックスをしない」「面倒をみてやらない」など、チャプター分けして細かく説明してくれてます)まで、この本を参考に恋愛したら、やたらと計算高くエゴイスティックな、「イヤなフランス女」になれること間違いなしです。
でも「自分がどうあるべきか」という彼女なりの考えは良く書き込んであって、女性の方は参考にしたり反面教師にしたりできるところもあると思います。相手には「自己中心的分析」以外無いみたいですが。
フランス人相手のアンケートの統計などをお披露目してくれるところはフランスに関心のある人にもなかなか面白いと思う(彼女自身の恋愛談よりは)のですが、それに関しても他の本を見た方がいいような気が・・ データも怪しいですし。
と、酷評してきましたが、普段から婦人雑誌などに載っている恋愛論などを好んで読まれる方ならそれなりに楽しめるだろうし、参考になるところもあるでしょう。
でもフランスに関心があってこの本を手にされると、ガッカリするかも・・
フランスとは文化が違って、人々の暮らしも、男女の出会い方も色々違ってきますが、
これはどこに住んでいても共通の大事なこと。
私も 私自身に自信を持たなくちゃいけないな、と思わせてくれる本です。