柴門ふみの漫画にかなり感化されていた時代に島耕作の作者が家族愛を踏まえた形で送るオムニバス形式の物語。何気ない日常生活の中に社会の悩みがあり、家族同士でも語りあう事のない事実がむしろ絆を深めたりする。ある意味心温まる。またやるせない気にさせる。流星とは言いえて妙な表現である。家族を持つ前に参考になる本です。

表題作「深夜の双星」を雑誌で前半のみ読んでいたので続きが読みたくなって購入。
心がほっとする王道の内容でした。
コーちゃんなる深夜食堂のﾏｽﾀｰのｷｬﾗｸﾀｰが気に入りました。
彼のしなやかで優しい感じが良いです。
1時間ﾄﾞﾗﾏで深夜に放映したら見たいな。
他の作品も良いのですが表題作が一番でした。

今回は、三つの肌合ひの異なる不条理世界の葛藤と夢を描いた作品集といった趣でした。どれも意外な、そして、不思議な展開が急テンポになされるといふストーリーでした。一話目は、希望の光の息子を惨殺された母親の十年の怨念をメインとしてゐながら静かな調和を導く謎の書道家の登場で不思議な折り合ひをつけ、再婚の人生が開かれる話。二話目は、契約カメラマンのデッドロック状態の結婚生活を訪日中の外国首脳ファーストレディの生れ変はり願望と結びついて新世界が広がる話。三話目は、パッとしない料理屋店長が、余命わずかな有名ライターの最後のアバンチュールに人生の花を得る話。二話目、三話目は未だ未だ新世界はうまく行くのかな、少し安易かなと感じるものもありましたが、変身、変化、ハッピーといふ僥倖を願ふ世間的な願望が秘められてゐるのかもしれません。