以下の八篇が収められている。
無名の画家の作品をなぜ画商は買うのか-「青のある断層」
終戦直後の朝鮮半島、軍人たちの人間模様-「赤いくじ」
真実を言い出せぬ杉野織部の苦悩-「権妻」
江藤と大久保の暗闘-「梟示抄」
「貴殿はお家のためにならぬから成敗する」-「酒井の刃傷」
捨て童子徳川忠輝のコンプレックス-「面貌」
大久保長安の感じた恐怖とは-「山師」
鉄砲名人の人生流転-「特技」
この中では個人的に「特技」を推したい。
技術者の悲劇、技術あるゆえに人格と乖離してしまうがごとき
状況に陥る人間の悲劇が見事に描かれている。
しかし、氏の歴史短編はほんとうに読み応えがある。