良心的な本
★★★★☆
軽くエッセイ風に書きながら、論拠として記紀万葉から鎌倉期までの文献に幅広く目配せが利いている。学術的に言える範囲で古代日本語の面影が書かれていて良心的な本です。ふだん古典文学を読むときに、ともすれば現代語訳を見て分かった気になってしまいますが、実は一つ一つの言葉には深い背景があることが分かります。今後の読書においてもう少し深い読みができるための入門書となります。ただもうすこし詳しく書かれていればよかったし、また参考文献の説明もあればよかったと思います。
どちらかというと文化的なエッセイ
★★★☆☆
色々な日本語の単語や表現についての、民俗的・文化的な考察。それはそれで面白いのだが、記紀以前の日本語の姿を明らかにする・・・という勇ましい想像をさせるタイトルとは著しく乖離があるのは遺憾なことである。
羊頭狗肉に近いと言えるのでは
★☆☆☆☆
書名に「原始日本語のおもかげ」とあり、はしがきにも「太古の日本語とはどうだろうか」とある。
記紀以前の日本語とはどんなものだったのか、と大いに興味をそそられて読んだが、一言で言えばがっかりした。検証はすべて記紀以後の文献、江戸時代、現代の成書も引用が少なくない。例えば、冒頭に出るキノコを「タケ」と呼ぶ理由についても、平安期の「和名類聚抄」と「色葉字類抄」から説明を引いている。
これでは記紀以前の古代日本人がどんな言葉を話していたかはわからないではないか。
題名に釣られて買ってしまったのが残念である。