生い立ちや家庭環境、ゲイであること、双子の弟おすぎとの確執と愛、華やかなパーティーライフから一転し、眼球を失うまでの心の変化などについて一気に語る姿は、テレビで観る彼そのままに、饒舌(じょうぜつ)でサービス精神に富んでいる。「おだまりっ!」と糸井重里を一喝しつつ進む語り口には、けれん味のない彼の魅力が詰まっている。それぞれのエピソードからは、あるときは近所のおばさんのようでもあり、ときとして厳父のようでもある、彼という人格が形成されてきた過程が読み取れる。
しかし何よりも驚かされるのは、彼の語る言葉の深さだ。「さびしいとか、切ないとか、そういうものは、もうとっくの昔に卒業しました」「ダイヤなんか、考えてみればずっと地中に埋まっていたものが、たまたま掘られて磨かれて目の前にあるだけの話でしょ。(中略)私が死んだら、誰かその価値を見出してくれるひとが手元に置けばいい」と、ある種仏教的な諦念を思わせる言葉の向こうに、生きることへの本質的な問いかけが見え隠れする。
ピーコの言葉からは、自分のことを良く見せようという姿勢がまったく感じられない。その赤裸々さ故に、読者はピーコという人間を肯定することも否定することも可能だろう。しかし少なくとも、幸福とは、愛とは何かについて、誰もが深く考えさせられる1冊である。(大脇太一)
ピーコさんがどうやって今の位置まで来ることが出来たのか、
恋愛について、生活について、赤裸々に事細かに述べられています。
そして、目の癌を患って今は片目が義眼であることまで・・・
文庫本なら迷わず買い、かな、と。
ピーコさんの毒舌だけじゃないところがいろいろ味わえます。
おまけでおすぎさんも。
テレビのファッションチェックでは、歯に衣着せない毒舌で通っていますが、その根本には「身のほど知らずの格好はするべきじゃない」「育ちは外見に出る」というポリシーがあるから、あれだけ自信を持って的確にものを言え、また支持されているのだと思いました。
彼をよく知る第三者が客観的に語った「ピーコ」ではないので、やはり良い面ばかり強調されているように思えましたが、逆にピーコさん自身の事がよくわかると思います。
人間関係においては、敵を作らないように細かい気配りをし、また自衛のために良い意味で虚勢を張っているようなところが、憎めない雰囲気を作っているように思いました。
ゲイと言っても考え方は人それぞれなので、画一的な思想を推進するような運動に参加したくないという、しっかりした意思を持っているところに好印象を持ちました。
深い恋愛経験を持ち得ない故に、好きな相手に求めずに与えるのが素晴らしいという考えは、少女のように純粋で、ある意味微笑ましいけれど少し悲しく感じました。
深い魅力を持った人だと思いました。
ただ、本としては軽い感じがするので、もっと突っ込んでも良かった気がします。