アメリカの持つ矛盾
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結婚後すぐに商社の駐在員として米国に赴任して7年間滞在、子供も生まれました。その前半の4年間はアメリカ生活の素晴らしさに、ただただ感激しておりました。取引先、居住区ともに中流以上のWASP(white Anglo-Saxon Protestant)やユダヤの人々で宗教(Judaism-Christianity)に基づく高い倫理観には深い尊敬の念をいだきました。ところが、後半の3年間には矛盾に満ち溢れたアメリカ社会の実態を知るようになり、アメリカの印象は暗転しました。殊に、あらゆる面でダブルスタンダードが存在することに気付き、アメリカ資本主義のなせるところであると考えておりました。
今回、アメリカの友人の勧めでこの本を読み、小生が実感したアメリカの矛盾点、古くは奴隷問題、近くは、反進化論や現ブッシュ大統領の行動の根底には宗教(Judeo-Christian)的選民思想とその強力な支持者が存在することが鮮明に理解できました。しかし、小生のアメリカ像からJudeo-Christian思想を抹消するとアメリカはアメリカではなくなります。部外者の小生には著者の論点は明快に思えますが大多数のアメリカ人にはとても受け入れられないように思えます。(完)