若い人にこそ是非読んでほしい本!
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いい歳をして日本の歴史(特に戦争史)を知らないなんて、日本国民としてやっぱり恥ずかしいと常々思っておりましたが、書店でふと目について購入しました。これは非常に分かりやすいです!
学校の授業で教えられることというのは、何年に何があったとただそれだけで、どういう経緯があって、どんなやりとりがあって事に至ったのかまでは丁寧に教えてくれません(先生も知らないのでしょうが)。
なので、ただただ何年にこういうことがあったとバカのように暗記していた記憶があります。
大切なのはやっぱり経緯ではないでしょうか。いきさつを知らずに何故そういうことが起こったのかと疑問を持ってもさっぱり分かりません。
そういう意味ではこの著者の半藤さんは自分の経験や第三者の観点を元にとても分かりやすく通史として語ってくれています。私はこういうことが知りたかったんですよね。
学校の教科書にも前向きに取り入れてほしいところです。無理であれば、本書を戦争史の良書として学校で無料配布するなどしたらどうでしょうか。
戦後50年を過ぎましたが、これからは学校で何かしらの方法をもって通史も取り入れていかないと、今の若者達が本当に戦争を知らない、興味がないなど、風化する原因になるのではないでしょうか。
二度と同じ過ちを繰り返さないためにも、若い人達にこそ是非読んでほしいと思います。
昭和の歴史を語る
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日本の戦争の時代昭和史を語っています。満州国建国や中国との泥沼の戦争、そして、国を滅ぼした太平洋戦争に至り、終戦に至る歴史について語っています。歴史の歯車、必然、偶然、運不運、綾といったものを軽妙に語っていて、とても面白いです。厚く長い本なのですが、面白くて、長さを感じさせません。昭和の歴史を理解するのに、とても素晴らしい本だと思います、日本人なら読んだ方が良いと思います。歴史の大きな流れというものを良く掴めると思います。断片的に起こっているように見える事件の伏線のようなものを良く解説しているように思います。歴史を物語として、語っていると思います。歴史的な貴重な写真も多く載せられていて、飽きません。良書でした。読む価値のある本です。
歴史のごく表面だけを面白おかしく解説している駄本
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日本側だけの史料を集めて読み解けばこうなります、という見本のような本である。
例えば冒頭の張作霖爆殺事件。著者は河本大作大佐の証言を鵜呑みにしているが、近年発刊のソ連情報工作機関の実態を描いた実録書では、ソ連が支配する東支鉄道の利権を脅かす張作霖を暗殺するようにとのモスクワの指示に従って、GRU(ソ連軍情報部)が日本軍の仕業と見せかけて実行したとある。
実行犯ナウム・エイティンゴンが自分の功績として、壊れた客車の写真を自分の回顧録にわざわざ載せて、自分がやったんだと言っている。
本書にも載っている列車の写真を見ても、線路に仕掛けられた爆弾が爆発してなんで床が無事で屋根が破壊されているのか?どうみてもおかしいが著者は何も言わない。
ほかもみなこんな感じで外国からの視点はゼロである。だから読み解けないものは”魔法の杖”のせいにする。正直駄本である。
今の日本は、はたして歴史から学べているんだろうか
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毎日出版文化賞特別賞を受賞した、大ベストセラー。
本のサブタイトルにあるように、1926(昭和元)年から1945年までの
歴史を語りおろした本である。
(昭和史だから、1926〜となっているが、実際には張作霖爆殺事件(1928年)
の話が始まり。)
いろんな文献や多くのインタビューを元にして書かれており、
非常に信頼ができるが、今までの人物イメージを覆すような評価も
登場するので、このあたりは、自分なりにいろいろな本を読みながら
考えてみるのがいいと思う。
あと、この歴史から半藤さんが導き出した教訓というのも
紹介されており、それは以下の5つ。
・国民的熱狂をつくってはいけない。国民的熱狂に流されてしまってはいけない
・日本人は、「起きると困るようなことは、起きないものと決めつけてしまう」
傾向があり、具体的・理性的な方法論を検討しなくなってしまう
・タコツボ社会における小集団主義の弊害
・国際的常識を日本人は理解していなかった
・何かことが起こったときに、その場しのぎの対症療法的な方策で処理してしまう
はたして、今の日本は、当時から成長できているんだろうか。
日本の歴史的失敗の本質
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中学・高校で学ぶ歴史は時間切れで昭和のことは教えてもらえない。もう一度昭和を勉強してみようという人には最適の教科書と言えるかもしれない。
長い時間軸で見ると、明治維新(1968)から日露戦争までの約40年で日本は近代国家を完成させ、次の40年でこれを滅ぼしてしまったことになる。さらに戦後の復興からバブル崩壊までも40年ということで、40年周期でこの国はアップダウンを繰り返している。
日本の歴史の中で最も辛く苦しいのが昭和の最初の20年と言っても過言ではない。司馬遼太郎も長い日本の歴史の中でもこの時代のみが前後との連続性がないという歴史観を示している。幾つかの大きな失敗が重なったことも見逃せないが、この20年に起こったことを我々は教訓とし、忘れてはならないと思う。学校でまず始めに教えて欲しい時代であるが、その代わりとして出来るだけ多くの人に読んでもらいたい一冊である。