完全主義的に過ぎる漢詩鑑賞
★★★☆☆
ここでは南宋の詩人陸游の詩 20 首が採り上げられその完璧な読下し文の完成が求められる.参加するのは主婦から編者の友人まで.道場主 (編者)の意見は厳格を窮め,与えられた詩がめでたく読まれるまでのスリルは相当なものである.但し,たまたまこの本に現れる次第となった作品は陸游の作としてそれほど魅力のあるものではないため,読者としては今一つ気が乗らないのが難点である.それに,果してこれほどの完全を読解に要求するのが常に妥当であるのかが疑問に思える.一々詩経にまで遡り,歴代の大詩人の作を参照しないと正解に辿り着けないのが漢詩と言う芸術なのだとすれば,図書館とデータベースと計算機がない場合どうしたら良いのか.そんなに厳密でなくても美しい詩はそれなりに味わえる筈だと私は思う.読書百遍意自通の面がないと漢詩の魅力はないだろう.