薄手ではあるが内容は濃い。初等的な複素函数論とトポロジーの知識が要求される。著者は前書きで本書の特徴として、ワイエルシュトラスの観点、すなわち羃級数から出発すること、複素多様体の導入の2点をあげている。またアールフォルスの著書に刺激されたとあるが、本書はCartan独特のものであって、用語の使い方に気を付けており、簡潔明瞭な説明だ。
こうした名著がペーパバック版として入手できるのだから、数学科の方はもちろん複素函数論を学ぶ必要のある方はお手元においたらいかがだろうか。