怪人二十面相が四十面相にパワーアップし、四十面相は世界平和を望んで宇宙怪人を作り出す。ある意味壮大なスケールで展開するところが、微妙な魅力(?)でもある。
■1999年3月の創世ホール講演会(徳島県北島町、演題「私が愛した3人の探偵作家~江戸川乱歩、海野十三、山田風太郎」)でも山前さんが述べられていたが、両氏は乱歩邸を毎週1回訪問し、蔵にある蔵書資料を12年間にわたり調査された。後にその研究成果を『幻影の蔵』(2002年10月、東京書籍)として発表、読書界に話題を呼んだことはご存じの人も多いだろう。同書は2003年5月26日に第56回日本推理作家協会賞・評論その他部門賞を受賞した。
■光文社文庫版『乱歩全集』は、中島河太郎先生亡きあとの乱歩研究最強コンビが監修解題を全冊担当し、がっぷり四つで膨大な乱歩作品と対峙しているものなのである。江戸川乱歩は生前没後にたくさんの全集が刊行されており、それぞれの刊行本によって字句の異同がみられる。今回の全集は、初出雑誌・初刊単行本・各全集(平凡社版、春陽堂版、桃源社版等)をつきあわせ「解題」で厳密な校異対比を掲載していて、文学研究としての姿勢も非常に志が高いものである。しっかり応援したいと私は思う。