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Unknown Quantity: A Real and Imaginary History of Algebra

価格: ¥1,472
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Plume
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雄大な物語 ★★★★★
代数学を中核に据えて、色々な人物の織り成す人間模様を描いた本である。数の代わりに文字を用いることを始めた人達として、Descartes, Newton, Leibniz, Viete等が、方程式から群への動きに貢献して人達として、Lagrange, Cauchy, Abel, Ruffini等が、環論に貢献した人達として、Noether, Hilbert, Kummer, Dedekind等が、幾何学方面に足場を持ちながら何らかの意味で代数学と大きな関係を持った人物として、Lie, Klein, Poincare, Plucker等が、現代代数学の中心にいた人物として、Lefschetz, MacLane, Zariski, Grothendieck等がとりあげられている。前近代からも、3次方程式の一般解を見つけたCardanoやイラン=イスラム文化を代表するOmar Khayyamあたりが取り上げられている。代数幾何学を話題にしているのに、イタリア学派がやけにあっさりとした扱いしか受けていなかったり、上記の人物の選択にはちょっと首を傾げる点も多々あるが、こういう素人が素人のために2次資料を駆使して書き上げた本に、そこまで要求するのは酷というものだろう。いずれにしてもepisodes集として十分楽しめるつくりになっている。私にとって印象深かったのは、Grothendieckの天才が生きていく上での救いようのない不器用さと表裏一体になっていることと、古代に文化の中心であったエジプトのAlexandriaの滅亡に至る経緯であった。最近は高校でも線形代数を勉強し、2次正方行列についてはCayley-Hamiltonの定理あたりまで勉強するが、そういうものが形成されていく19世紀のイギリスの話は高校生にも十分楽しめる作りになっている。是非一読を薦めたい。