英語教育の中で意味中心のアプローチを行いたいけど、それと同時に学習者の中に文法的な知識をいかに発達させていくかという問題を考えていく上で非常によい手助けとなると思いました。本のタイトルにつけられているfocus on formとは、まさにこのような問題を扱うものです。
ただこの本はfocus on formをとりまくすべての問題に答えを出そうという試みではないようです。むしろfocus on formを行っていく上でどのような問題があるのかを指摘していくことの方に重きがあるようです。それらの問題とは例えばどのような言語項目を扱うべきか、対象とする学習者の年齢はどの程度かといったものとなります。
本書は日々の英語教育の実践において重要なポイントをいくつも提示してくれていると思います。所収されている論文の多くはカナダのイマージョン・プログラムについて言及することが多く、直接日本のコンテクストに当てはめて考えるということは難しいと思いますが、それでも得るものは大きいと思います。