心がとても温かくなる作品
★★★★★
ヒロイン アナベルは絶体絶命でした。
田舎の家族の苦境を思えば、ニューバリー伯爵との結婚は
避けられない。デビューの世話をしてくれている祖父母の
子爵夫妻も大賛成。
しかし、この伯爵が自分の祖父とほとんど同じ年。しかも
鳥肌の立つようないやらしいスケベおやじ。
こんな人と結婚なんて絶対にイヤ。
この敵役のスケベ親父ぶりが徹底しているので、読んでいて
ヒロインに感情移入してハラハラどきどきできます。
実は秘密の職業を持っているヒーローとか、びっくりするほど
豪快な祖母とか、キャラクターの作りもしっかりしていて
飽きない。
ジュリア・クインの紹介に「現代のジェーン・オースティン」
と書いてありましたが確かに。
昔の小説はホットなシーンは皆無ですが、でも面白い。
この作品にもほとんどホットなシーンがありません。
ないとは言えないけど、でもそれは「結ばれてよかった」
と思うような純愛チックな場面。
やはりクインは何と言っても全編に流れるユーモアとウィット
と言葉遊びと、とても王道でまっとうなラブストーリー。
とっても楽しめます。
これこそ原語で読む価値があると思います。