待ちに待ったハヴィランド伯爵のストーリー
★★★★★
「恋愛戦争(Courtship Wars)」シリーズの5作目。
新発売されるやいなや一気に読みました。
2作目(To Bed a Beauty)のロズリンとアーデン公爵の恋で、なかなか粋な
役回りを演じたハヴィランド伯爵。5作目に彼が登場するというので割と
楽しみにしていました。
6作予定されている中で、今回のヒロインは唯一美人ではなく、地味な
オールドミスという設定。といっても当時の基準なので、現代なら
十分若い24歳。しかも眼はきれいで、プロポーションは抜群。いわゆる
地味だけど性格を知ればとたんに魅力的に思えてくる、という性格美人です。
ヒーローのハヴィランド伯爵は、貴族ながら長年対フランスの諜報活動を統括
してきたというジェームズボンドばりの元スパイ。今はフランスとの戦争も
終わって諜報活動から足を洗い、父の死により爵位も継いだので、小うるさい
祖母にやいやい言われて便宜結婚の妻を探している最中。
容姿よりも何よりも知性を重んずる彼は、フワフワ軽いデビュタントにはどうも
食指がわかず、なかなかこれという女性がいません。
しかし、ヒロインのマデリンは出会いの最初から刺激され、退屈を感じない。
それにスパイ活動中に命を救われた仲間の軍人の娘でもあり、お金もなく、スト
ーカーのような男爵につけまわされて苦境にある。彼女を救って恩を返し、なお
かつ自分の花嫁探しにけりをつけるのに、彼女との結婚は一石二鳥だ、、、と
思い立ってぐいぐいと便宜結婚をせまるわけですが。。。
ありがちな設定ではありますが、ハヴィランドには苦い過去があって、本気の恋を
二度とするものかと固く決意しています。
もちろん、最後にはその氷が解けるわけなんですが、読者はなじみのない突飛な設定
よりも、この、よくあるけど大好きな設定に沿って、いかにストーリーを盛り上げて
くれるかというところに期待するわけです。
この作者さんはそのへんのさじ加減がうまい。
そしてホットなシーンの配分も上手。
ハヴィランドを本気にさせようと、純情なヒロインが一生懸命変身して、誘惑する
わけなのですが、そのシーンもなまなましくも行きすぎではなく、かつどきどきする
設定に仕上げています。
特に赤ワインのシーンは、イニシアチブをとりすぎる、と反撃してヒロインをめろめろ
にするハヴィランドがとっても男っぽくて好みです。