エンヤの神々しいサウンドや、デレリアムやエニグマのみずみずしいトリップホップ・ビートのファンなら、バリゴミンゴが大いに気に入るはずだ。その東洋風の名前にもかかわらず、バリゴミンゴはキーボーディスト兼プログラマーのギャレット・シュワルツのソロ・プロジェクトで、さまざまなミュージシャンたちとコラボレートして本作を制作している。アメリカとカナダのボーカリストをそろえた本作だが、アジアのアンダーグラウンドシーンのパイオニア、ニティン・ソーニーの最新作『Prophesy』と同じく、この世のものとは思えない神秘的な雰囲気と緊張感を生みだしている（だがソーニーよりは深みにかける）。本作の軽快でムードあるトラックでは、その魅力を広げる多彩な女性ボーカリスト陣、甘い打ち込みのリズムのような処理音、15人編成のオーケストラを耳にできる。トラックの多くは一筋の流れとなり、夏の長雨のように続く夢心地のムードを支えている。ボーカルはときおりティーン・ポップにも似るが、たいていはトラックの前面にすっと溶け込む。そして、豊かなワールドミュージックのビートと音色に乗った、バリゴミンゴの詩的な瞑想を広げるのに一役買っている。（Ken Micallef, From Amazon.com）