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クジラが見る夢 (新潮文庫)

価格: ¥1
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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イルカやクジラとの邂逅を硬質な文体で綴る ★★★☆☆
日本人の作家である池澤夏樹が、フランス人のフリーダイバー,ジャック・マイヨールの人間像や、彼と同行した海で出逢ったイルカやクジラについて綴ったエッセイ。

著者とマイヨールは英語かフランス語で会話していると思われるが、あまりそういったディテールには触れられていない。
基本に忠実な玄人好みの文章で、トリッキーなところは微塵もない。
物事の要点のみを簡明に映し出す硬質な筆致と、国語の教材として通用するようなオーソドックスな言い回しが特徴的。
柔軟性と敏捷性に優れ、なおかつ情報量が豊富な作風を好む読者には向かないかもしれない。

巨大で神秘的な生物に少しでも近づこうとするマイヨールの姿勢は、純粋な欲求に従う子供のようであり、敬虔な信徒のようでもある。
そのようにして海への憧憬を抱き続けた男が晩年に心を病み、自らの命を絶つことになったのも、本書を読むと漠然とではあるが理解できるような気がする。
シンプルで心地よい。 ★★★★★
表紙に魅かれて、内容を全く見ないまま
衝動買いしてしまったのですが、アタリでした(笑)

著者がマイヨールと実際に過ごした記録なのでリアルです。
素のマイヨールを垣間見れたような気がしました。
文章にも無駄がなく、あたたかい目で追っている雰囲気は感じますが
感情移入しすぎているわけではないので、マイヨールの人間味がきちんと伝わってきます。
また、美しい写真とのコラボレーションにより、マイヨールという人が
ただ心から海を愛していた人なんだなぁという事がシンプルに、
でも強烈に伝わってきます。
とても心地よい本です。

クジラに憧れと尊敬を感じます ★★★★☆
くじらっていいなあ、ジャック・マイヨールっていいなあ、こんなふうに書ける池澤夏樹っていいなあ、と思う本です。
今いる世界とは、全く違う世界があって、そこで生きてる人がいて、息苦しくなったときに、風穴をあけてくれます。池澤夏樹の挿絵もほんわかしていて、とても好きです。