丁寧なケーススタディ
★★★☆☆
論の起こしはピラミッド型組織との対比となっている。ピラミッド型組織の問題点は言うまでもなく管理職ポストの枯渇と賃金の経営圧迫であり、本書においてはその回避例としてまずトヨタが挙げられている。したがってフラット型組織の考察といってもベンチャー企業のような中小規模業態ではなく、名だたる大企業(ダイエー、帝人、イオンなど)の制度事例を考察している。事例の中にはフラット化というよりは人材育成制度の運用状況の観察なども含まれている。したがって本書により適切なタイトルを付するとすれば『大企業のピラミッド構造弊害を解消する様々な人事制度事例の考察』となるだろう(長いか)。自社の人事制度を思い出しながら読むと、琴線に触れる事例も散見された。