簡易ME辞典としても
★★★★☆
本書は、一言でいうと『カンタベリー物語』で有名なチョーサーの用いた
単語の意味を記した辞典のようなものです。
辞書と同じくABC順に単語が並び、語義と作品名を明記することで、
「この作品の何行目ではこういう意味だ」ということがわかるようになっています。
チョーサーの英語は、中世英語のなかでも、廃れた方言ではなくて、
現代英語に発展した種類のものなので、比較的読みやすいといえます。
しかし、600年以上前の言語であることに変わりはなく、今と同じ単語でも
同じ意味とは限らないし、中世独特の語もあります。
Middle English Dictionaryを引けばよいのですが、いかんせん大きく、
OEDと同じで百科辞典のように何巻もある物なので、個人で所有することはなかなかできず、
図書館などで調査をしなければなりません。
しかしチョーサーを読む際本書を使えば、ごくふつうのあまり厚くないペーパーバックなので、
非常に手軽で便利です。
ただし、字はとっても細かく、(仕方ないことですが)作品名の略号が多すぎて、
慣れないとわかいにくいです。