インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話 (ハヤカワ文庫NF)

価格: ¥840
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
Amazon.co.jpで確認
情報処理としての英語辞典物語 ★★★☆☆
生涯精神病院入院を余儀なくされていた米国人が大英帝国最初のOED作成に貢献した話。
細部にわたり過ぎてくどい。
コンピュータの無かった時代の作業の大変さが判る。コンピュータ時代の有難さもわかる。
陰鬱な室内で長年悪戦苦闘するスタッフと精神病院の一室でマイペースで作業の出来る狂人とどちらが快適だったか判らない可笑しさはある。

OEDは有名ではあるが、手許で使い易い英英辞典としてはOEDよりはPaperBackのMACMILLANなどの方が安くて役に立つ(語源解説、例文、同意語など)。
USA留学時代の数十年前の米国では辞書、数表、理科年表などは再生紙使用のpaperBackで政策的に安価で販売されていた。
英作文などには英英辞典は必須であるが、日本では立派で高価すぎる。
paranoia、あるいはbeyond-mind ★★★★☆
 本書の原題は、"The Professor and the Madman: A Tale of Murder, Insanity,
and the Making of The Oxford English Dictionary"。
 筆者によれば、奇跡の〈狂人〉「ウィリアム・マイナーという人間の感動的な物語を語る
ことによって、ある種のプリズムができ、それをとおして英語辞典の編纂史というさらに
偉大で魅力的な物語を見ること」を本書はその目的とする。
「印刷物やその他の記録から英語の『用例』を徹底的に集め、その用例を引いて、英語の
あらゆる語彙の意味がどのように使用されているかを示」す、このあまりに壮大なプロジェクト
OEDを支えたのは例えばひとりの殺人者。エリート医師でもあったこの男は精神病院の中で
膨大なテキストから日々精緻に語彙を拾い集めては、そのリストを編み続けた。

 筆者自身が言うように、本書は単に「二人の主役」、すなわち〈博士〉ジェームス・マレーおよび
〈狂人〉マイナーの物語を明かすに留まらない。OED、あるいは英語そのものの歴史をも論じ、
あるいはまた、彼らの時代における精神病院や医療の歴史なども覗き見できる、いわば一冊で
幾度となく美味しい思いのできる濃密な作品。
 けれどもやはり圧巻はマイナーの生涯をおいて他にない。
「もちろんマイナーは辞典の仕事をした。そして、ここには残酷な皮肉がある。もし現代のような
治療をほどこされていたなら、マイナーは辞典の仕事をしなければならないと感じなかった
かもしれないのだ……治療が不充分だったためにマイナーが仕事から気をそらさなかったことに
たいして、奇妙な感謝の念を抱かざるをえない。あの恐ろしい精神病院の夜に彼が苦しみ
つづけたからこそ、われわれは恩恵をこうむっているのである」。
 知というものはしばしばあまりに狂気と似る。
 奇しくも英単語paranoiaの語源はギリシア語para-noos、すなわちbeyond-mind。
 まさしく常人のマインドをはるかに超えたところから生み出されたこの偉業に感謝の念を捧ぐと
ともに、彼を支配した「残酷な皮肉」の不条理を前に立ち尽くすばかり。

(ちなみに、星ひとつのマイナスはストーリー・テリングの若干の淡白さゆえのこと)。
イギリスのあの気の滅入るような暗さの中で ★★★★★
 辞書を作ることは容易なことではない。それまでに存在してきた様々な文章にできるだけ目を通し、用例をしらみつぶしにあたらなくてはならないからだ。それはとても一人の人間の手に負えるものではない。イギリスの気の滅入るような暗い社会と風景の中で、使用に耐えうる初めての英語辞典はどのようにして生まれたのか? 意味あるものを作り出すことの想像を絶する苦悩を目の当たりにするとき、私たちはその事業に携わった人々を心の底から称えずにはいられないだろう。
まさに「事実は小説よりも奇なり」。辞書作りを支えた"Unsung hero"の実像に迫るノンフィクション ★★★★★
最近、Britannica読書日記(「驚異の百科事典男」)を興味深く読みました。そして「2万2000ページある英語辞典『オックスフォード英語大辞典(OED)』を1年かけて読破した男」という記事に気付きました(→読書日記(Reading the OED)もあり)。「じゃあ、そんな凄い分量の辞書は どうやって完成したのだろう?」と思って読んだのが本書です。
OEDが19世紀後半にボランティア形式で作製が開始され、立案から完成まで70年もかかったという事実に驚きました。そんな時代に「伽藍とバザール―オープンソース・ソフトLinuxマニフェスト」(※)で語られているような【オープンソース精神】を地で行くような話があったなんて! (OEDはBritannicaのように作られたのかと思っていたら、むしろWikipedia的な要素があったわけで...)
このボランティアの中に、精度の高い情報を日々投稿してくる謎の男(マイナー博士)がいて、主幹編纂者(マレー博士)が不思議に思っていたところ、あるキッカケでマイナー博士の数奇な人生を知ることになり、二人の親交が始まる… 最後まで一気に読ませる内容でした。もしマイナー博士("狂人")が居なかったら、そして彼の人生の大半(刑事犯精神病院暮らし)を単語リスト・用例作りに注ぎ込める状況になかったならば、OEDの完成は大幅に遅れたかもしれないし、或いは頓挫していたかもしれません。本書に出会わなければ、そんなOEDのボランティア(縁の下の力持ち…unsung hero)には気付かなかったことでしょう。
なおOEDは1928年初版以来初めての全面的改訂となる第3版が2010年に出版予定です。約60億円の資金、80名の編集者、200名のコンサルタントを用意したそうです。辞書作りって凄い事業ですね。
(※)「伽藍とバザール」はネット上で公開されています。
かなり人気のある本 ★★★★★
この本ってすごくブームになって、そのせいで二番煎じの本がたくさん出たほどです。
たとえばfowlerについての本とか、最近ではシーソーラスを作ったロジェについての本とか。本書のウィンチェスターは「博士と狂人」の博士についての本も書いています。
 話の中身が、ディッケンズの小説の舞台のビクトリアンロンドンで、薄暗い雰囲気なのは好きなのですが、話が汚いというか自分は比較的好きではないのですね。狂人はいくら辞書作りに協力をしても、狂人として精神病院に閉じ込められたままなのですし。
 話の筋が極端に展開して、山場を迎えてというようなものもないですね。単調な感じがしました。狂人が主人公なのですが、主人公に感情移入をして、ヒーローのように思い込むという人もおそらくいないでしょう。だけど、地味にこの小説は面白いとおもいます。殺されたビール工員とその奥さんの出身地書いてありますが、あの地域を百科事典で調べてみると、ビールの原料がとれる地域から旦那さんは出てきているんですよね。だからロンドンに出てきてビール工場に勤めることになるのか、なるほど、というような感じで感心したことがありました。
 日本でも丹波篠山から灘に冬場に出稼ぎに来て、日本酒を作る杜氏として働く人たちがいたでしょう?ああいう人たちだったんだなあというふうに思って感心したんですけど。
この小説を読んで、ロンドンの北の殺人事件がおこった地域を一度見てみたいなんて人がでるのかなあ?ずいぶんわびしくて、悪いイメージをいまだに引きずっているから、だれも行きたがらないなんて書いていたなあ。日本だとどんなところが似た地域になるのでしょうね。