辞書の中にこんな世界が広がっていただなんて…
★★★★☆
仕事柄辞書を引くことがとても多く、いろんな種類の辞書をけっこう所有しています。
もっともポピュラーなのは国語辞典で、新語が増えますから折に触れて買い替えて
います。
こんなふうに辞書に囲まれて暮らしている私の足元が、ず、ず、ずーっと崩れ落ちる
ような感触をこのたび感じたのは、「新解さん」の存在を知ったためでした。
新明解国語辞典があるのは知っていましたが、どういうわけかほかの辞書ばかり買って
いて、新明解国語辞典は中を開いて見たことさえありませんでした。
…やはり、とでもない世界が広がっているのでしょうか。
買ってみたい! でも「新解さん」にのめりこんだら、仕事が手につかなくなりそうで、
なんだかコワイ。
赤瀬川文豪と編集者・SM嬢のかけ合いがみどころ
★★★★★
新解さんとは『新明解国語辞典』のこと。
赤瀬川氏の知人の弟子がSM嬢である。
SM嬢は実は文藝春秋の編集者。
新明解国語辞典への異様なこだわり。かつ、アカセガワ原平氏への敬愛の念 深し。
ついに、SM嬢はアカセガワ氏をとりこにして この本を執筆させしめた。
最初は『文藝春秋』に掲載(平成4年・平成5年)。そして、他誌に掲載されていた作品と共に、平成8年7月に文藝春秋社から刊行。文春文庫入りは平成11年(1999年)である。
ここに実験的なる 傑作が誕生した。
過去にかようなる書物なし。
新解さんの謎を第一版から第四版までの『新明解国語辞典』の中に入り込み森羅万象解き明かそうとする試みである。
新解さんとは、新明解国語辞典に棲む抽出されし生き物のことである。
老いたるアカセガワ氏は、元気なるSM嬢を得てかようなる作品を残すことができた。
そして、SM嬢への様々な配慮はこの書に滲み出ている。
SM嬢は、その後、鈴木マキコ(=現名 夏石鈴子)として、デビューすることになる。
とにかく痛快なる書である。
笑えます
★★★★☆
家族で夕飯の後にお茶を飲みながら腹を抱えて笑いました。いいですね、新解さん。挿絵の使い方もうまいです。「子供に公(おおやけ)って何?」と訊かれて、公の席の挿入写真を「こんなところだ」と見せると、ああナットクという感じでした。「火炎瓶の数え方」なんて、久々に腹が痛くなるくらい皆で笑いました。この辞書は高校時代(第3版)から使っていて、他の辞書と比べて説明がユニークだなとは感じていたのですが、たまにしか引かないのでこういった切り口では見ていませんでした。ただ辞書を読む、という楽しみ方があるのですね。影響されて、早速第6版を購入して時々読んでいます。読み比べてみると、第3版の方がラジカルで楽しかったなあという印象です。
なお、この本の後半は新解さんと関係ないエッセイなので、ちょっとがっかりしました(エッセイそのものは面白く読ませて頂きましたが)。それで星4つにさせて頂きました。
それほどでも....
★★☆☆☆
「新解ブーム」の火付け役かもしれませんが、この本そのものを読んでもそんなに腹を抱えて笑えるとか、電車の中では読むなとかと言うほどでも無いと思います。
新明解国語辞典を買って、面白い例文を自分で探して読んでみたくはなります。
いっしょに掲載されている「紙がみの消息」もどうもいただけない。
何かこの作者の語り口が性に合わないみたい。
辞書って面白いですよね。
★★★★☆
新明解国語辞典は持っていたんですが、気付きませんでした。こんな面白い世界があったんですね。そういえば国語辞典ってあんまり使わなかったような気がします。
個人的には英語の辞書の挿絵が好きで、調べもせずよく眺めていました。挿絵は研究社のものがお気に入りでした。
辞書や百科事典を読破すれば、全てのことが分かると思っていた頃が懐かしいです。
因みに学生時代に使っていたドイツ語の辞書の訳語は下ネタになると九州弁になっていました。定評のある辞書だったのですが、ドイツ語教師は訳が下品だと言っていました。
本書は新解さんのことは半分しかありませんので、興味がある人は本書でSM嬢として紹介されている鈴木マキコこと夏石鈴子さんの本に進んで下さい。実は、新解さんの発見はこの方の功績です。