マリオン・ブラウン、７９年の名作です。サックス、ピアノ、ベース、ドラム、ギターという
編成で美しい演奏を聴かせてくれます。

フリー／アヴァンギャルド系統で語られることの多いマリオン・ブラウンですが、ここで聴
かれるのは暴れまわっているような演奏ではありません。多少硬質ですが、おだやかで
感動的なものです。ある種、感動的な美しさ。彼の本質はそこにあると思います。だから
これは別に日和った演奏ということではありません。

サックス奏者としては特別うまいほうではないかもしれませんが、艶かしい演奏は美しく
すばらしいものです。また、彼はリーダーとしての力があるというか、全体的なバランス
が良いといえばいいのか、参加しているプレイヤーが皆すばらしい演奏を聴かせてくれま
す。そんなマリオン・ブラウンの本領が発揮された本作は間違いなく名作です。

５曲目は７４年の「スイート・アース・フライング」の再演です。組曲風だった７４年のもの
とくらべるとすっきりとした演奏ですが、これはこれで美しいです。

７４年の「スイート・アース・フライング」は一度限定盤でＣＤ化されたきり手に入らない状
況が続いていますし、本作もあまり再販されないので、あるうちに購入されたほうがいい
かもしれません。十分価値のある名作だと思います。