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医学者は公害事件で何をしてきたのか

価格: ¥405
カテゴリ: 単行本
ブランド: 岩波書店
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このような本を待っていた ★★★★★
このような本を待っていた、それが正直な感想である。公害・薬害事件の拡大の構造(特に医学者)について、事実を明確に書き記しており、問題提起も極めて明確だ。これに名指しされた学者は是非反論して欲しい。そのような議論が成立することで、第2弾の著作も期待したい。広く読まれることを期待したい一冊である。本書での問題意識が科学技術社会論(STS)などの学問的成果と交錯してより深まることも期待したい。
世界の片隅で「王様は裸だ!」と叫ぶ ★☆☆☆☆
水俣病をはじめとする公害事件、薬害事件に対して、国と御用学者たちがどのように対応し、何を切り捨ててきたか。水俣病は食中毒事件として初期対応するべきだった。

疫学者である著者が、御用学者たちを皮切りに、医局や官僚の体制に至るまで、皮肉を交えて「問題点」を指摘する。もっとも、皮肉と取るか負け犬の遠吠えと取るかは読み手次第だろう。

著者は御用学者たちの不知・不明を糾弾するのに、疫学という専門分野を用いている。権威的なものに対して著者の専門分野で切り込んでいる構造となり、攻め込む時の容赦なさは逆に権威的なものすら感じさせる。それ故に共感しにくい。
著者がこれまで続けてきた活動の中で、いろいろなルサンチマンを募らせてきたことは想像に難くないが、良くも悪くも、それがそのまま結実してしまったような一冊だ。

本当に世の中を変えていきたいのならば、もっと共感が得られる方法を、次につながるプロセスを掲示する姿勢を。書かれている内容は素晴らしい。伝えたいという想いが強すぎるばかりに、それが惜しまれる。
すっきりとした ★★★★★
水俣病の本当を知ることになるとは思ってもいなかった。水俣病に一般的な関心はあった。「水俣病の科学」を読んで感心したりして他人よりは知っているつもりでいた。とんでもなかった。水俣病は作られた病気であるとはっきりわかった。食中毒事故として当然の処置をしていたら被害は増えなかったばかりでなく長期化も避けられ、患者たちの苦しみも軽減したに違いない。それをしなかったばかりかそのことによって金や名誉にすがり付いて医師本来の仕事をも放棄した連中、また、官僚。暗澹たる気持ちになるが、このように実名を出しことの全貌を明らかにすることで少しでもこれからの犠牲者が減ることを祈る。津田氏のような医師たちに希望を感じる。しかし、なんという国なのだろう。この国で幸せに生きていけるのだろうか。
医師養成機関の点検を ★★★★★
面白い!!岩波ひさびさの大ヒットではないか。

第1章の「疫学とはどういう学問か」という導入部は読みやすく、EBMばかり唱えている人たちにも読んでほしい。
第2章「疫学から考える水俣病」は、その後も薬害、公害の続くこの国の構造を考えさせるケーススタディとして秀逸。

第3章「必要な制度の見直し」は、こうした状況の一端が医局講座制にあることを的確に指摘している。それも相当勇気ある発言である。

小生は筆者と同年代に医学部を卒業した臨床医のはしくれだが、当時は疫学なんてやる人は相当の変わり者などど思っていた。しかし、二〇年近くたって社会医学の分野でも優秀な人材が育ってきていることを喜びたい。

結果ばかり見て医師の批判に終始している社会の方が医師養成機関というものを真剣に見直してほしいと思う。

それにしても、医学書を出版している出版社はこうした本は出せないのが現状なので、やはり岩波書店は必要です。がんばってほしい。

水俣病の原因はメチル水銀ではない!・・・本文より ★★★★★
過去の中に葬り去られたかに見えるあの公害事件で繰り広げられてきた「国」や「学者」の想像を絶する実体、変われない日本の「官僚」たち・・・鮮明に書き綴られた悲惨な事実の中に、筆者の真摯な姿を見る。しかしこの本における最大の目的は、隠蔽の中身を曝すこと、事実を曝露することではなく、むしろ、学問それ自体のあり方を今一度問い直すこと、真実を「語る」ことの意味を問うこと、の契機となることであろう。医学という領域にとどまらないきわめて哲学的な名著。