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Next: The Future Just Happened

価格: ¥2,933
カテゴリ: ハードカバー
ブランド: W W Norton & Co Inc
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   インターネットがこの世界を自分のまったく知らないものへ変えつつあるのではないかというひそかな疑いを少なからずもったことがある我々は、「そんなことはない」と胸をなでおろしていいのか? それとも腹をくくるべきか? そんな世間の一喜一憂を尻目に、マイケル・ルイスはこの急激な変化の要因について精力的に調査を行ってきた。『Liar's Poker』や『The New New Thing』(邦題『ニュー・ニュー・シング』)の読者にはおなじみの、あの皮肉まじりのウィットと社会の変化に対する鋭い洞察力とで現状を観察し、それが将来どのような意味をもつのかを推測する。

   ルイスの考察の中核を成すのは、インターネットは実は何も引き起こしてはいないという見方である。それはただ、社会における一種の穴を埋めただけだという。そのもっとも顕著な例が、「インサイダー」と「アウトサイダー」を隔てる溝である。

 『Next』でルイスは、「“自己”とは我々が自分の置かれた社会的状況に対応するためにかぶっている仮面にすぎない」と考える社会学者にとって、インターネットがいかに理想的なモデルたるかを立証する。10代になって間もないニュージャージーの少年が従来の投資システムをあざけるかのように軽々と大金を稼ぎ出して、株取引の不正を取り締まる証券取引委員会に目をつけられることになったのがインターネット上でのことなら、砂漠の小さな町で退屈しきっていた、運転免許を取れる年齢にすら達していないマーカスという少年が一番人気の法律エキスパートとなったのも、インターネット上でである。彼はAskme.comというサイトで、殺人容疑に対する抗弁から、ある不正な取引において詐欺罪に処される寸前までにどのぐらい稼ぐことができるかといったことまで、ありとあらゆる法的問題にアドバイスを提供する(ちなみにマーカスはイリノイ州在住の人物から寄せられた後者の質問に対し、5001ドルと答えている)。

   また、マンチェスター郊外のさびれた町に住む左翼に傾倒した14歳の少年は、奨学金を得て進学校に通うことすらできないほど貧しく、1日のほとんどを(少なくとも料金が安い時間帯のほとんどを)「デジタル社会主義」に没頭して過ごす。彼は、仲間同士のコンピュータ交信という新たなフィールドを生み出した悪名高いファイルシェアリング・プログラム、「Gnutella」の第2弾の開発に余念がない。

   ルイスはこれらの少年たちの姿を追いながら、名声や権威の再分配、社会的順位の逆転、マネー文化の変容(資本の大衆化およびギャンブルの「罪としてのステータス」の喪失)、正式な教育が持つ価値の低下、そして知識の交換の必要性の高まりなど、インターネットが貢献したさまざまな社会現象を検証する。

   ルイスの洞察は鋭い。凡人たちの行動をおもしろおかしく描写する一方で、社会的意義を考察するときの彼は非常に綿密で思慮深い。ルイスは、10代のオンライン投資家、ジョナサン・ルベドについて、彼は「自らをプロと呼ぶ人々でさえしばしば自分自身で考えることができず、また多くの人がお金に夢中になりながらそれを扱う能力をほとんど持っていない、という市場の真理に、すでに気づいている」と述べる。

   ルイスの解説は終盤にかけてやや難解で理論先行ぎみになるが、『Next』は、インターネットが動かす世界を見据える、エンターテイニングで、かつ大いに考えさせられる1冊である。

歴史は現在進行形 ★★★★☆
オンラインテレビとサイバーテロリストの話はあまり面白いとは
思いませんでしたが、他の話は価値観が急変する様を淡々と
伝わってくるような描き方をしていると感じました。
考えてみれば、ウィニーの開発者が逮捕されたのも、
この本に出てくる話と共通点があるのでしょう。
まさに歴史は現在進行形であります。
著者の才能からすると不完全燃焼を感じてしまう ★★☆☆☆
ライアーズ・ポーカーで鮮烈なデビューをしたマイケル・ルイスにしてはややお粗末な作品になってしまっている。
近著の「マネーボール」の出来がすこぶる良かったことを評価して、この作品にも手を伸ばしてみたのだが、着眼点に感心できた他は、取り立てて面白い箇所はなかった。

著者はインターネットが一瞬のうちに人々の意識を変え、生活を変え、人生観を変え、文化を変えて行く様をエキセントリックに描きたかったのだろうが、その意図は残念ながらほとんど達成されていない。

思うに、このようなテーマの本を選ぶ読者は、新聞や雑誌などのメディアで十分に知らされている現実以上のものを求めるものである。私などは正にそうである。

そのような期待を持って本書を手に取った読者にインパクトを与えるだけの深い洞察が見えてこないのである。せいぜいインターネットで事件を起こした主人公達の私生活での素顔がやや詳しく論じられる程度である。

冷徹で鋭い視点を持って人間活動の見えない部分を解き明かす筆致は相変わらず見事ではあるが、他の作品の圧倒的な魅力と比較してしまうと、どうしても見劣りするのである。

来るべき世界! ★★★★★
マイケル・ルイスは、「ライアーズ・ポーカー」の著者だったんですね。
非常に優れた洞察力だと思いました。
インターネットが引き起こした”革命”を目に見える形で具体的に描き出してその背景を推察するように構成されています。”大人”にとって、それは背筋が寒くなるような印象を持ちました。

歳を重ねて大人になって初めて経験できることや楽しめること、経験が価値になっているというのが今の社会には結構あると思うのですが、インターネット社会では無になるかもしれないですね。
子供達は、インターネット社会で、大人のふりをして大人と同じように振舞え、大人にしか出来ないと信じられていたことを軽々とぶっ壊し始めています。

「インターネットで何か変わったの?」という問いに対して「情報の速度をあげるただの道具」という答がインターネットブームの後に聞かれ始めました。
本当にそれだけ?

著者は、情報の速度をあげるただの道具で、巨額の利益を上げた15歳の少年や法律相談でNO.1の支持を集めた15歳の少年にインタビューを行い、インターネットという道具が社会にどういった影響を与えているのかをみつけようとしています。
株のアナリストや弁護士など”専門的な知識”で商売を行っていた人たちは

インターネット社会では今までのように尊ばれなくなるだろう。
株式売買などの大人の楽しみが、子供達でも簡単に出来ること。おまけに専門の知識など必要がなかったことなどが明らかにされてゆきます。

なぜ、新しいものが生まれると子供達が革命者となりうるのか?子供のアイデンティティーを新しい状況に移し変えることが可能なのだ、と著者は推察しています。新たな道具を手にするとその目的ではなくて、どういう使い方ができるか極限まで開発してゆく。

インターネット社会は、どんな形をしているのか少し見えてきました。

マイケル・ルイスがネットのもたらしたパワーを洞察している。これはニュース。 ★★★★★
マイケル・ルイスの作品は、それぞれ、「日本語訳が出ていない」タイミングで、英語で読んできた。「Liars Poker」、「The New New Thing」、そして、この「Next」が三冊目である。

Liars Pokerでは、80年代後半のウォール・ストリートの投資銀行における自身の債券ディーラーとしての経験をもとに、ファイナンスの教科書にも出てこなければ、また、ビジネス・スクールにおいてもおおよそ教えられることのない、投資銀行でディーラー、セールスとして働くことの実態、意味合いが、単なる経験談のレベルにとどまらず、そのミクロな世界の構造と、その中で働くということのもたらすメンタリティとが、一人称でクリアに語られていた。

「あの本を読んだらねえ、とても、ウォール・ストリートで働く気にならなかった。私の知人で、90年代初頭にハーバードMBAとなり、その後、MBAらしからず、実産業でのキャリアを展開することになった人が語っていた。「なるほど」と思った。ぼくも、「生き馬の目を抜く」とはこういうことだろうが、華々しいキャリアと喧伝されていることの実態がこれであるとすると、生活の糧を、投資銀行のクライアントとなる事業会社から得ることになっているぼくも、実に、このLiars Pokerの読後感としていだいたものである。

New New Thingを読んだのは、ネット・バブルにかげりが見え始めた頃であったが、シリコン・バレーのベンチャーの構造と機能とを、これまた、密着取材のうえ、的確な問いを発することを続け、対象となったジム・クラークとの間で信頼関係を築いたがゆえに可能であったと思わせる、本人弁に彩られた、ダイナミックな「語り」が展開されていた。

この「Next」は、マイケル・ルイスの方法論が、「インターネット」の出現がこれまでにありえなかったことを可能とさせた事例の意味するところ、をこの2001年の時点で明らかにする、という意図を具現化するために実に的確に応用されている。

センセーショナルな報道だけでは、決して汲み尽くすことのできない意味合いを、それぞれの対象となる人物との間に築かれた信頼関係ゆえに語られることをベースに、より、深く、より、明確に引き出すことに成功している。