がん患者の気持ち
★★★★☆
哲学、というと堅苦しいが実際はカウンセリングである。理解と受容、傾聴、時に非指示的に(ロジャース)、時に間主観的に(後者がより哲学的ということになるだろうか)。現代医学において殆ど手付かずの分野である「がん患者とその家族」の心のケア。サイココンコロジーがやっといくつかの病院で紹介されたばかりのこの国で、多くの患者の魂が行き場を求めてさすらう現実。この本はマスコミでも近年紹介された順天堂大のがん哲学外来を始めた病理学(基礎)の教授の経験談であり当事者には大いに参考になるだろうが自分の主治医との落差にがっかりするかもしれない。患者はがんを治すこともさることながら、人間としてまっとうに扱ってほしいのだ。受験戦争に勝ち抜いたエリート達が医師となり患者心理を学ぶテキストともなるだろう。
患者さんやご家族だけではなく、すべての人に読んでほしい本です
★★★★★
「がん哲学外来の話」というタイトルなので、この本を手に取られる方の多くはがん患者さんやご家族の方々だと思います。その方々にとって、がんとの付き合い方、家族との関係、病院や医師との関係、不安や喪失感をどうするかなど、大切なヒントを得ることができる素晴らしい一冊です。
同時にこの本は、人間として生きるすべての人にとっても、多くのことを気づかせてくれます。病気になり自分を見つめ、人間として生きることの本質をがん患者さんたちは見出されますが、その本質は、今を生きる者すべてが気付くべきものなのだと思います。「あいまいさ」「忘却力」「淡々と生きる」、本の中に出てくる言葉です。どうぞ中身を確認してください。そして、樋野先生ご本人に実際にお会いになることをお勧めします。この本がなぜ素晴らしいのか、納得されるはずです。
医療者からの珠玉の言葉
★★★★★
私自身、癌経験者です。
私はこれまで、癌関係の多くの本を手に取りましたが、
いまのところ、これ以上の本はありません。
悩み多き癌患者とその家族に、新たな視点を与え、風穴をあけてくれる1冊です。
「いい病院、いい医者」といった、お得な情報が掲載されているのではありません。
しかし、これを読むことで心底救われる人が多いと思います。
ガンに罹った当事者であれば、いまの医療に、
患者やその家族に対する心のケアが足りないことは、
大なり小なり感じていると思います。
筆者はそこを汲み取り、病理医としての経験を生かし、
1人の人間という立脚点で、
これまでの日本の医療界にはなかった、
独自の活動をしています。その活動の内容がわかる1冊。
こんな医師が増えれば、癌という病気も怖くない、と思えてきます。
目からうろこ
★★★★★
目からうろこの珠玉のことばの数々。
こういう本を待っていました。
『がん』とうまく付き合ってゆく方法が網羅されています。
素晴らしい本でした!!