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その名にちなんで (新潮クレスト・ブックス)

価格: ¥2,376
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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ID ★★★★★
最初の列車事故以外、大きな事故がでてくる訳でもない。
やや淡々と、引いた感じで、語られる、アメリカに移住したインド人一家の大河小説。

インド人の若夫婦が、アメリカへと移住し、
やがて子供(ゴーゴリと妹)ができて、、子供達が大きくなって、、。
インド人としてのIDを強くもって、異国で暮らす、両親と、
アメリカ人としてのIDで暮らす、子供達、、との静かで小さな葛藤が
この淡々とした話に、ふくらみを持たせているような気がする。

自分的には、移民後、鬱っぽかった母アショカに一番引かれますね。
鬱っぽかったのに、子供ができてから、周囲とのつながりができて、、、。
パーティーを開くたびに、その規模や参加者が増えてきて、、。
たくましくて。
インドとアメリカを旅して ★★★★☆
ラリヒの描く世界に身を置き、
主人公ゴーゴリの人生に深く触れて満足感を得、

インドとアメリカという風土の違い、
(結婚を機にアメリカに移り住んだ)アメリカ社会になじめない両親と
アメリカで生まれ育った主人公との価値観の違いを
インドの伝統的な服装や料理とともに“知る”楽しみも満たされました。

ゴーゴリが築いていった価値観を思うとき、
添い遂げる実直なタイプの女性には惹かれないことに納得がいきました。


『外套』(参考外套・鼻 (岩波文庫))
との接点がもう少し欲しかったような・・・。

その名にちなむ ★★★★★
「停電の夜に」同様インド人が主役。
おかしな名前をつけられたところから物語が始まり、ここまで切ない人家族の人生を書き上げるのは並大抵の作家ではない。
読後、ジーンと来て、寂しさが残った。
でもこれぞ人生。
そろそろインド人が主役の物語から離れて欲しいが。。
名前から始まるドラマ ★★★★★
主人公は、アメリカにわたり住んだ両親をもつインド系アメリカ人の青年。
小さいころから、インドでもアメリカでもフィットしない、
あるロシア人の作家にちなんでつけられた自分の名前に、違和感を抱き、
大学入学を機に、名前を変える…

小説は、青年の名前にまつわるエピソードを軸に、
親子の関係、子どもの成長、アメリカに生まれながら、インド人にもアメリカ人にも
なりきれない青年の葛藤を、描いています。

読んでいて、いつもせつなさがまとわりつく傑作です。
異国に住んだことのある人ならだれでも、彼や彼の両親に、ある程度共感できるだろうと
思います。
淡々と、 ★★★☆☆
この作品の主人公はアメリカに渡ったインド夫婦の子供として生まれ、ロシアの作家「ゴーゴリ」にちなんで名前を付けられた男ゴーゴリを追う物語です。

作中、主人公の父親が列車事故から九死に一生を得、そのキッカケとしてゴーゴリの本の存在があるのですが、どうしてかその名を子供につけるに至ったのか?といういきさつを語らなかったために、息子であるゴーゴリはその名を徐々に嫌っていくのですが、あまりに(私個人にとっては)淡々と物語が進んでいくことでその名を嫌ってゆく過程に現実味を感じませんでした。もう少し情動的な部分があっても起伏に富んで良かったのではないか?と考えます。また物語のフック(読み手を物語の世界に引き込むチカラのようなもののこと)も、少し弱い感じもしましたし、こういう物語で言えば当然ジョン・アーヴィング著「ガープの世界」と比べられてしまいますと、単純には語れないものの、少し薄い(あくまで個人的好みの話しです、もっと言えばスゴイけれど冷静になると「ガープの世界」はちょっと濃すぎますしね)感じです。

少々気になった点はゴーゴリの行動や考えを浮き彫りにするにあたって彼の女性関係だけを使って追いかける手法に、違和感を持ちました。恐らく「家族」の話しであり、異国で生活するものの話しであり、そして年代記とまではいかないものの、ある人物を追いかけるのであれば、もう少しその他の部分にも光を当ててよかったのではないか?とも言えると思いました。友人や同僚などはほぼ完全に消されていますし。最期の展開も、もう少しタイトルにちなんだ何かがあっても良かったのではないか?と。あまりにその何ちなむ出来事が薄かったのではないか?とも思えました。


いろいろネガティブな部分もあったのですが、なにしろ文章的にはトーンが一定していて読みやすく、比較的想像の範囲内の出来事が起こるので安心して読めます。父の単身赴任が母のある練習になっていたエピソードの部分は短編小説家としての上手さを感じました。


異国の地で生活をする選択をしたことがある方に、あるいは「家族」という存在に重きを置かれている方に、オススメ致します。