少女版『キャッチャー・イン・ザ・ライ』として世界中の若者たちに読み継がれている永遠のベストセラー
などというオビの文句に、「大げさじゃないの」と感じたからだ。
少女期の挫折や無力感、結婚してそれまでの自分の人生すべてを否定された経験、出産・育児に明け暮れる日々に、焦りを感じていた頃…。
それらを乗り越えていまの自分がある(中には超えられずに知らぬふりをしている事柄もあるが)!
と自負している私の目には、最初は主人公の姿が、ただ努力もせずに甘えているとしか映らなかったのだ。
しかし、何度も読み返したいまなら、エスターの苦悩が理解できる。
強すぎる感受性は、矛盾した嘘だらけの社会で生きてゆくことを拒否したのだ。
そんな彼女に共感し、受け止めてあげようとするひとも、いなかったのだ。
作家としてではなく、人間としてのプラスをもっと知りたいと思う。
女性であり、ふたりの子を持つ母である私には、彼女の死の理由だけは、おそらく理解できないのだろうが。