とにかく例文が実用的かつ魅力的な表現を含んだものばかりで、どれも暗唱して使いたくなります。例文だけ集めてそれを音読したＣＤが欲しい位です。例文にはレベルの高い重要語句・慣用表現がふんだんにちりばめられており、構文、文法事項と同時にキレる表現（どちらかというと口語）と語彙力も身に付きます。
　ただ、この本のひとつの売りでもある、◇、□、△等図を使った説明は、私にはかえってわかりづらく、挿絵程度に考えた方がいいかもしれません。
　聞く、読む際もさることながら、とりわけ話す、書く際に、構文を正しく使いこなせることが死活的に重要であることは、英語を仕事等で使い始めた人は肌で感じると思います。曖昧に覚えていた基礎的な文法事項（be to do …の６つの意味や動名詞、不定詞の本来の意味等々）の復習から、関係副詞や否定構文での微妙なニュアンスの表現の仕方まで、まるで講義を聞いているかのようにスムーズに頭に入っていきます。
　但し、一通り読むだけでは右から左に抜けてしまうので、いかにこの味わい深い多くの例文を語彙と一緒に覚えていけるか、微妙なニュアンスの違いを表現するための解説を身につけられるか、読者の根気にかかっていると思います。

専門的に細かいことを書きたければ、徹底的に専門的なことを説明すればよい。基礎に徹するなら、それまた徹底的に基礎を説明すればよい。本書は、基礎編と上級編の両方をターゲットにしようとして、そのどちらにも「？？？」と感じさせるものになってしまったのではないか。また、余り効果的とは思えない、イメージ図は、上級者の読者を手放す結果になりそうだ。残念！教員が授業のネタ本として利用価値が、まだありそうなので星２．５。嗚呼、ないから３。