ゴム弾性の基礎のキ
★★★★★
本書はゴムがなぜ伸び縮みするかということをテーマに取り上げ、同様に伸縮可能な構造を
持つ金属バネと特徴を対比しながら1章「ゴムっていったいなんだ?」が始まります。
全般を通して、平易な解説で理解が促進されますが、特にゴム弾性の肝ともいえるゴム弾性に
ついては、2章の輪ゴムを用いた思考実験により、高分子鎖のエントロピーとランダムコイルの
概念をうまく表現しています。
3〜5章で実際のゴム材料の過半が製品として供給されるタイヤやパッキン類などを題材に
解説が加えられ、ゴムの利点と欠点が製品上の例えば、タイヤにおけるシリカ材料技術の性能
発現メカニズムについても比較的イメージしやすいものとなっています。
終章において、ゴム材料の将来展望について、ゴムの欠点克服への挑戦や液状ゴム技術、
ゴムのリサイクルなどのトピックスについても触れられています。
本書はほとんど化学式を用いないでも理解ができるように説明がされており、タイヤのウェット
性能と低転がり抵抗を両立させた平易かつ簡潔に記載されており、理解しやすいもので
ゴム物性になじみの無い方へのお勧めの書と言えると思います。