もっとボリュームを
★★★★☆
「だまし絵」と言われるものを集めたものである。120ページのうち、カラーページは1/3程度。風景画の中に人の顔などもうひとつの絵が隠されているものや、角度を変えて見てみるものなどがあり、見ていて楽しい。ただ、絵の点数が少ないのが残念。その原因の一つとなっているのが、余計な解説である。解説などなくていいので、その分、載せる絵を増やしてほしい。
めくるめく錯覚
★★★★☆
古今東西のだまし絵を紹介し、その原理や描き方の手法まで種明かししてくれる本。
写真という分野が生まれてから、写実性と言うもののみを信仰する時代は終わってしまったのだと思う。絵画はインパクトをもとめ、そのつど斬新な手法を取り入れて変化してきた。巧妙な計算でデフォルメを取り入れてる絵画は多く、それは意図されたものが多いが、多分 鑑賞者はただ「観る」だけならばその変化に気付かないことの方が多いのだろう。そういった意味では、絵画と 漫画絵や風刺絵の垣根は、あまり意味がない。値段と、外枠的な価値の問題なのだろう。
この本は古今東西の人々が、人間の視覚のトリックを 絵を描くと言う手法を用いて いかに追求してきたのかが分かる。
特に西洋で生まれた、一定の条件を満たさなければ見えてこないアナモルフォーズによる「隠し絵」や、いくつもの絵が一枚に隠されている多義図形など、作り手が理系の頭をもってないと描けないんじゃないんだろうか。
なんだかつくづく、技術を駆使して計算で描き込む「西洋画」というイメージが出来てしまいそうだった。良い意味で。
そう言えば人間の目というのは、線と線の間に主観的輪郭を捕らえようとするのだそうだ。水墨画とかまさにそんなかんじで、線をいかに迷いなく「抜く」かにかかっている。
書き込みの西洋画と抜きの東洋画と言うイメージだ。
こういうだまし絵に騙されることが嫌な人間もいるのだろうけど、私はなんだかクラクラと惹き付けられてしまう。
全部人間が考えたことだと思うと、よけいに。
この本について
★★★★★
いわゆる『だまし絵』と呼ばれる絵画の解説画集です。色々なトリックを利用した面白い絵画が見れます。この機会にこの本を読んで『トリックアーティスト』の仲間入りに。