これ、リリース当時はもの凄く話題になったものです。再発しないのはレコード会社のイメージ戦略とかが関わってるのかな？
ウィントンってリスペクトする年上のミュージシャンと組むと良いんですよ。彼の先達に対するリスペクトがきちんと伝わるんですよ。ジョーヘンとやってるのとエルヴィンとやってるのは双璧です。ウィントンがリーダーで若手だけでやると彼が大将になっちゃってちょっとつまらなくなっちゃうんだけど、これにはウィントンが素で乱取りやってる感じがします。プロレス的にいうと素晴らしいバウトになっています。
これを復刻しないのは勿体ないの一言に尽きます。こういう『先達の胸を借りて飛び込んで行くウィントン』の演奏は素晴らしいし貴重なのです。こういうのをちゃんと再発して人目に触れる状態にしないのは問題だと思います。ケイコ．ジョーンズの説教は日本でエルヴィンがやるときの税金みたいなものです。これくらいで収まってたら相当マシな部類ですよ。これは内容的には素晴らしいアルバムです。もしも日本がジャズ大国であるというならば、こういうアルバムを再発しないのは恥ずべき話。マイルスのプラグドニッケルや1958を先攻発売したように、これも再発をきちんとやらないとダメです。

１９８５年８月１日のライブレコーディング。
パット・ラバーベラ(ts,ss)
ソニー・フォーチュン(ts,fl)
辛島文雄(p)
リチャート・デイビス(b)
エルヴィンのバンドらしいすばらしい演奏です。

①まず全体の録音レベルが低すぎる。
②エルビンのドラムの録音レベルは更に低い。
③身内に捧げる為の誕生曲が入っていて、興醒め。
④エルビン婦人のトークは会場内だけで、レコードでは聞きたくない。

当日会場にいたが、あの殺気に近い迫力はこの盤からは微塵も感じない。

ウイントンが演奏する‘至上の愛’は、もうコルトレーンのものではなくなっています。
あのエルヴィンまでもが
ウイントンワールドに入ってしまっているのです。
彼の解釈の上で、１つの物語が始まっている･･･そんなライブ盤です。
２曲目の‘Dear Lord’のなんと美しいメロディ！
心の奥にしみとおるような繊細で、安らぎさえ感じるサウンド。

また、ウイントンの演奏を支えるマーカス・ロバーツの存在も聴きごたえあるものです。
‘HAPPY BIRTHDAY’は観客へのサービスだったのでしょうか。
独特のアレンジで魅了。
その前の雰囲気から一転して、ニューオリンズの香りが漂います。

ライブでしか味わえない良い演奏です。