ゲイ・レズビアン向けに作られているが、ヘテロの人に当てはまるところが非常に多いし、文体も2,3の記事を除けば非常に平易かつ関心をそそる。著者も「今世紀最大のケシゴム版画家」から哲学者までバラエティに富む。
伏見氏は以下のように雑誌の意図を述べる。「僕らは美醜の価値をフラットにすることもできないし、ましてや美醜の感覚を容易に逆転することも出来ない。(中略)だから、もし僕らに今出来ることがあるとしたら、それは「醜」の中にいこれまで顧みられなかった魅力を発見することだろう。(中略) 「ブス」を美しいと政治的に言いくるめるのではなくて、「ブス」だからこその人生のうまみを見出し、それを存分に楽しむ「生」の可能性を追求することだ。」(27) クイアな生や欲望を社会で肯定していくための高らかな宣言であり、我々にあった既存の、しかし根拠に乏しい価値観念をぐらつかせる喚起である。
「美しいとはなんだろう」と素朴に疑問をもった人から美醜の専門家まで、「超お薦め」です。