多読というと、「量」で外国語を身につけるといった側面が注目されがちですが、本書では多読の認知的・情意的な効果についてもしっかりと教えてくれます。「難しいから読まない、読まないから難しくなるという」リーディングの負のサイクル(Nuttall, 1996他)から生徒を救い出す術を具体的に教えてくれます。
確かに、本書には具体的な多読の実践例もわかりやすく書かれています。が、まずは本質的な多読の効果を理論的にもしっかり理解し、それぞれの現場に合わせた実践を教員自らが模索できるようになるのが理想的でしょう。流行りに乗じるだけでない、硬派な(?)多読実践ができるはずです。その意味でも、本書は理論・実践の両面がよくわかるお薦めの一冊です。
文法と単語の説明に時間を費やして、授業で扱う英文は一時間にせいぜい5行程度という絶滅危惧種に指定されそうな先生に教わっていたのではなかなか英語の読む力はつきそうにないと思います。
この本の中には、多読の指導のさいのアイディアやリサーチの結果が多く掲載されています。特にこの本の良いところは、著者が日本の大学で教鞭を執っており、この本の中でのアイディアがおそらく日本での英語教育というコ㡊??テクストでじゅうぶん役に立つだろうと思われるところです。
英語自体は平易な英語で書かれていて容易に読める専門書であると思います。