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続「甘え」の構造

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: 弘文堂
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   電車の中でも読める本である。まず、活字が大きい。と言って内容は決して空疎ではない。とかく、聞きなれないカタカナ語や難解な語が飛び交う学術書の中で、本書は実に「わかりやすい」言葉でつづられている。

   日本人及び日本社会を論じた文献として前著『「甘え」の構造』は欠くことの出来ないものであり、学術書にもかかわらずベストセラーとなった。が、このことが著者も予想していなかった事実を生む。「日本人の好ましからぬ面をさして“あれは甘えの構造だ”という言い方が一部で行われるように」なり、日本人に見られる特徴的な現象「甘え」そのものに対する批判が起こったのだ。しかし、「日本人の生き方の根っ子のところに“甘え”があり、それを自覚することが必要だということは指摘したかった。但しその場合も、“甘え”そのものが悪いと書いたつもりはない」と著者は言う。

   著者には既に多くの「甘え」に関する論考があるが、本書は2部構成で「甘え」そのものの全体像を懇切丁寧に解説している。第1部は「“甘え”について」の書き下ろし。「“甘え”の文例」(近代文学作品の中に見られる“甘え”の文例として、幸田露伴『五重塔』、樋口一葉『にごりえ』、夏目漱石『明暗』、太宰治『女生徒』ほか、多数の作品が挙げられている)、「“甘え”の概念」、「“甘え”の心理」、「“甘え”の迎合」、「“甘え”の変遷」、「“甘え”の行方」の5章立てで構成されており、著者の言いたかった「甘え」とは何かがつかめる。
 「時代的考察」と題された第2部は、「“甘え”と自立」「二十一世紀の日本に向けて」の2章からなる。これらは以前に発表されたものであり、「“甘え”そのものを論究するのではなく、“甘え”の観点から時代や文化の問題を批判的に考察することが意図」したものだ。この第2部だけでも、独立して読める。「甘え」とは何かという問いにスッキリと答えてくれる本である。(稲川さつき)