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Push: A Novel (Vintage Contemporaries)

価格: ¥1,079
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Vintage
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ハーレムの黒人少女の悲劇的な人生を独特の語り口で表現 ★★★☆☆
映画、「プレシャス」の原作本。12歳にして、2人目の子供を妊娠したPreciousが学校を退学させられて、特別な支援学級に編入することろから物語りは始まる。Preciousの子供は、実は2人とも実父のレイプによるもので、実母はそれを容認するどころか、彼女に暴行を加えるような人間。けれど、この支援学級でMs. Rainと出会い、少しずつ「自分が置かれた状況」がどんなに悲劇的であるのか、そしてそれが決して自分のせいではないということに、Preciousが気づき始め、二人目の子を産み、その子をいつくしみ、前向きに生きていこうとするPreciousの健気な様子が描かれている。
そして、この悲惨な状況を語るのPreciousの語り口調(一人称)が独特。物語に臨場感というかリアリティを与える重要な要素ではあるのだが、完全スラング(African American Venacular)なので、英語母語話者でないとかなりキツイ。暗号解読しているみたい・・・。

そして、前向きに生きるPreciousに更なる悲劇が襲い掛かり、PreciousはWHY ME?と嘆きながらも、それでもわが子を抱きかかえ自分の人生の結末を思うとき、そこにあるのが決して不安だけではなく、かすかな希望の光が差していることが、唯一の救いと言えるのかもしれない。

内容も文章も、一般的日本人英語学習者にはかなりヘビーだけれど、アメリカ現代社会の抱える問題をほんの少しだけ覗き見ることのできる一冊。
Push, Precious, push!! ★★★★★
物語は、Preciousという名前の女の子。
ハーレムに住み、物心ついたときから両親から虐待を受けていた。
12歳で第1子、16歳で第2子を出産。父親は、彼女自身の父親…
読み書きもできず、でも学校に行くことだけが好きだったPrescious.16歳になり、
出会った教師により、Preciousは新しい人生を切り開いていきます。
読める喜びを知り、詩を書き、そして自分の人生に、果敢に挑戦していきます。
Why me?を繰り返すのではなく、自分の未来を、希望を持って考えられるように。

こんなに過酷な人生があっていいものか、と思えるくらいひどい
暮らしを送っていたPrecious.
でも彼女は、学ぶことで、そして仲間を作っていくことで、乗り越えていきます。
その成長の様は、眩しく、人の心を震わせます。

貧困と暴力、その中でも、人は、人によって、
希望を見出し未来をみつめることができるんだな…と思える、
傑作です。
勇気をくれる本です。
厳選された力強い言葉達 ★★★★★
 この作品の最大の魅力、それは、この本が力強い言葉に溢れているという点だ。主人公プリシャスはニューヨーク、マンハッタン北部のハーレム地区に住む黒人少女。12歳にして父親の子供を妊娠、出産。母親に虐げられ、世間からもはみ出した彼女の人生。そんな彼女に、生きる事の楽しさを教えた学校の先生、ミズ・レイン。クラスの仲間達。

 ここまで読んだあなたは、「なんだ、よく在りがちな、お涙頂戴、感動モノのストーリー?」と思われるかもしれない。しかし、それは間違いである。この本は、泣かせる事を意識した、そこら辺の小説とは一線をかしている。読者に全く媚びない文体。それゆえに、不覚にも泣きそうになる箇所がいくつも在る。

 一般人が「不幸な少女」という単語から思いつく全ての!事を背負ったプリシャスだが、同じ境遇に悩み、傷ついている仲間と出会うことで、力強く生きる事を学んでいく。
そして、彼女や、その仲間が紡ぎだした力強い言葉達。それらは「詞」という形で物語の後半に納められている。

 何か、諦めなければいけないモノを手にした人間の切なさ、強さ。前向きに「諦める」事で、前進していく事の大切さ、何が人を醜くさせるか、何が人を傷付けるか、何が人の品格を決定するか。この本にはそんな事が書かれている。

 全く新しい文学。人間関係の描かれ方に、目からうろこが落ちる思いがした。