クレーヴの奥方 [DVD]
価格: ¥5,040
17世紀フランスの古典的恋愛小説を、現代に置き換えて映像化。監督・脚本は『メフィストの誘い』のマノエル・ド・オリヴェイラ。本作で1999年カンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞している。
美しい上流階級の娘カトリーヌ(キアラ・マストロヤンニ)が家柄も人柄も申し分のない歯科医に見初められて結婚するが、とあるパーティでライブ演奏をした人気ロック歌手と一目で惹かれ合ってしまう。カトリーヌはロック歌手を想いながらも彼の誘いには乗らず、夫への貞節を守るが、夫にその想いを打ち明けてしまう。そして夫は悲しみのあまり病死してしまい…。
感情を表に出さない登場人物ばかりを配し、絶妙なタイミングで物語の合間にタイトルを入れ、登場人物の心情を簡潔に説明していく独特なスタイルをとった本作。そのせいか、古典的な貞節の物語を現代に移してはいても、メロドラマ的な悲哀感とともにユーモラスな風情さえ匂ってくる。主人公が熱烈に恋するロック歌手が、エルトン・ジョンかと見紛うハデな衣装にスキンヘッドの中年男という設定も、なかな意味深い。主人公カトリーヌを演じたキアラ・マストロヤンニは、カトリーヌ・ドヌーブとマルチェロ・マストロヤンニの娘というサラブレッド。喪服を着ても感情を抑えても匂いたつ官能をにじませている。(茂木直美)