手塚治虫
★★★★★
間違いないなく、21世紀の手塚治虫になる作家だ
いや、おそらくは手塚治虫を追い越すだろう
手塚治虫が持っていた才能のほとんどと、手塚治虫が唯一持っていなかった笑いの才能を併せ持つ完全無欠の漫画家・三宅乱丈
イムリでは笑いの要素が抑えられてはいるが、それが解き放たれたならば、どうなることか。
あぁこんなにもドキドキしながらマンガを読めるなんて、幸せだよ
三宅乱丈さんはオススメ!
★★★★★
新刊、待ちに待っていました。
三宅乱丈さんの泥臭い表現が最初のころは苦手でしたが、ある瞬間、はっとする構図に引き込まれ、そこから一気にファンになってしまった私です。
今評判の「アバター」など色褪せてしまうほど、独特で緻密な美しい世界観が魅力の「イムリ」。
残酷なシーンも多いのですが、現実の私たちの世界も、そうたいした違いはないことに気付き、怖くなってくる深い作品です。
旅のイムリ「ドープ」が悲しくも奴隷化されてしまったシーン、母親のピアジュの悲哀、そして「最後の夢」にメッセージを託して自らの命を絶つシーン、やや歪んで育ってしまったミューバの危うさ・・など、ここかしこに息もつかせない場面がたくさん。
私としては、冷たいようでいて深いところに温度を感じさせるガラナダ呪師の存在が楽しみです。
さあ、どんな「兵器」を身につけて、デュルクはカーマを叩き伏せるのか? それとも? 映画化やゲーム化もありかなと思ってしまう作品、みなさんどうぞ読んで見てください!
辛い逃走劇
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前半は前巻に引き続き統治民族カーマの秘密を知ってしまったデュルクの辛い逃走劇が描かれて居ます。
デュルクは自身が生き延びる為とはいえ、多くの人命を奪い、超能力を身にまとう為に宿す「イムリの道具」の順番を間違えた為に更なる窮地に陥ってしまいます。
好々爺の仮面をかなぐり捨てたデュガロ呪師がカーマの権力を守る為に冷酷で狡猾な正体を現し、異様な存在感を示します。特にデュルクの双子の片割れミューバにデュルクに対する疑念を吹き込むシーンは見ものです。
後半は場面が変わってイムリの集落の日常を描きながら、彼らの言動の端々から徐々にカーマによるイムリに対する民族浄化が進んでいる様子が伺えて恐ろしくなります。
個人の深い描写に冴えを見せる事が多かった三宅乱丈氏ですが、このイムリでは権力を持った民族が如何に先住民を同化・浄化して行くかと言う歴史観にも挑むスケールを見せています。
様々な能力と同時にハンディを背負いながら一人旅をするデュルクの運命がいやが上にも気になります。次巻も非常に楽しみです。