故郷の田んぼにたどりついた冒険家
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高野さんは名だたる冒険家だ。北緯90度から南緯70度まで、軽度はぐるっと360度、極地探検やもろもろの調査で地球と折り合いをつけてきた。その活動は、時にインターネットで日本の子どもたちに生で伝えたり、ミクロネシア・ヤップ島での青少年の長期滞在プロジェクトなどにつながったりしている。10月、名古屋市で第10回生物多様性条約締約国会議(COP10)が開かれる。生物多様性とは、「地球は人間だけのものではない」ということなのだろうが、高野さんは自らの動きでそれを体現しているように思う。「人は自然に生かされている」と説き、「大地とつながる生き方」をさぐり、たどりついたのが故郷である新潟県南魚沼市での田んぼ仕事や生き物調べ。つまり、足元で人々の生活を学ぶことのようだ。本の構成が生い立ちから始まっていることがうなづける。