そして次第にイスラム研究者である著者の関心は日本に居住するムスリム自身へと向かってゆく。後書きで触れているとおり、イスラム研究者である著者ですら日本に居住するムスリムの現状をほとんど知らなかったのである。身近に住んでいても縁遠いムスリム。
そのようなムスリムの生活の実態は非常に興味深い。
ムスリムの問題は純粋に宗教上の問題に留まらず、食生活を代表する日常生活の問題となっている。さらに進んで日本人と結婚したムスリムにっては2世ムスリムの教育問題や死後の処理問題もすでに現実化している。また出身国による様々な差異も非常に興味深い。
自分とは無縁と思っていた問題が実は非常に近いところに存在していることを教えてくれる好著である。