サブダはここでも表現のマスターであり、精巧で変化に富んだ数々の場面を構築している。煙突から出たり引っ込んだりするサンタ、引き出し式のベッド、上げ下ろしのできるブラインド、そして、ムーアの「not-a-creature-was-stirring(ネズミすら眠るクリスマスの前の夜)」という文を受け、サンタの訪問を受けるのはネズミの家族だ。タプをひくとサンタのソリが雲から現れて、複雑にくみ上げられた村の上を飛ぶなど、インタラクティブな楽しみも用意されている。この本から好きな場面を選ぶのは難しいが、先頭のトナカイが読者の目の前に飛び出してくる仕掛けは、きっと子どもたちのお気に入りになるだろう(ビックリして椅子から落ちなければの話だが)。
一流のつくりと見事な仕掛けだけでも十分推薦に値するが、サブダは他のポップアップ絵本を軒並み蒼白にするような、考えぬかれた抑制のあるところを見せて上をいっている。アクセントとして目をひく色を使ってはいるが(サンタの赤い服や銀のパイプなど)、それはあくまでもダイナミックな本にふさわしい程度に抑えられている。だから読者の視覚焦点は、常に動きから離れないのだ。(すべての年齢)(Paul Hughes, Amazon.com)