世界の隅で輝くもの
★★★★☆
2005年度ニューベリー賞受賞作。
差別と貧しさの中、たくましく生き成長する日系姉妹の話。主人公ケイティの姉リンは聡明で学校の成績もよい。何でも教えてくれる自慢の姉だ。
「きらきら。姉のリンが教えてくれた最初の言葉。私は「かうあぁ」と発音したけど、意味は分かっていた。分かっていることを、姉も知っていた。「きらきら」は「輝くこと」を意味する日本語だ。赤ん坊の時から、姉はその言葉を使っていた。夜にはよく姉に人気のない路に寝かされ、仰向けになって二人で星を見たものだ。リンは繰り返し言った。「ケイティ、ほら、きらきら、きらきら」。大好きな言葉! 大きくなってから、私の好きなものはみな「きらきら」だった。美しい青空、子犬、猫、蝶、カラフルなクリネックス。」
子供の視点で、決して楽とはいえない日系家族の暮らしを、生き生きとさわやかに描いている。リンが難病にかかってから、両親はさらに激しく働き、いつしか家族はばらばらになっていく。病気が進むにつれ、ケイティとリンの関係も逆転していく。リンはまるで赤ん坊のようにあれこれむずかり、ケイティはその世話をする。困難な時期を過ごすことで、ケイティは成長し、家族もまた一つにまとまっていく。
ある意味ありがちな設定であるが、嫌な感じはしない。ラストのケイティとおじカツヒサの会話は、結末が分かっていたとしても真に感動的だ。
ぜひ読んでほしい作品
★★★★★
貧しくとも誠実に懸命に生きている日系人一家の暮らしを、次女であるKatieの視点からつづった物語です。
養鶏場で働く父親、鶏肉加工場で働く母親、一番の親友でもある姉Lynn、そして幼い弟Samと暮らす主人公。
お勉強は苦手な彼女ですが、ささやかな暮らしを、ぬいぐるみのBera-Beraや想像上の完璧な恋人Joe-Johnで豊かに彩る才知には恵まれています。
それには、大好きな姉が教えてくれた、あらゆるものに輝き(KiraKira)を見つける楽しみも大きな助けとなっています。
物語の前半は、姉妹のKiraKiraな日常。
読んでいて、「愛おしい」って思います。
やがて姉が病に倒れ、一家の生活は次第に困窮します。
悲しい物語ですが、Katieの語り口はシンプルで、まっすぐで、ユーモアを失わず、読んでいてあまり辛い感じはしません。
再生を感じさせるラストは、読み手の心もKiraKiraにしてくれますよ。
非常に読みやすい英文で、難しい言葉もほとんど出てこないので、比較的初心者でも読めるのではないでしょうか?
(難しい言葉はKatieが辞書を引いて教えてくれます)
洋書を読み始めて間もない人でも、ぜひ挑戦してみてください。
瑞々しい感動を覚えます!
★★★★★
主人公ケイティの視線で書かれています。全ては淡々としてでも、瑞々しく所々ユーモアすらあり、そのために余計にとても考えさせられたり感動したりしました。当時の日系人達のつましいというには、あまりに不公平な待遇を耐え忍ばなければならない、貧しく苦労の多い生活を改めて知りました。
この家族はリンの病気と彼女の死の直後どうにかなってしまいそうな所で、何とかそれを乗り越えて、どんなに貧しくとも苦労が多くとも悲しい出来事があろうとも、誇りを失うことなく何が本当に幸せな生活かを家族で見出していきます。その過程は涙なくしては読めませんでした。
最後のほうは確かに泣けてきましたが、凄くいい話だと思いました。姉の死をどうにか乗り越えようとするケイテイ、彼女と両親やおじさんとのやりとり、リンを思い出すところ・・・そして家族でカリフォルニアの海を見に行くところ・・・何度読んでも感動を覚えます。
ケイテイにキラキラという言葉を教えた姉のリンは、どんな生活の中にも美しく輝くものを見つけ出してそこに幸せを見出す天才だったのでしょう。それに気づいた妹ケイテイもきっとそれを受け継いでいることだと思いました。きっと家族皆も・・・。そして、それは何か現代の自分達にも教えてくれるものがあると思うのです。
、
一生懸命に生きた人々
★★★★★
日系人のお話です。ケイティは5人家族。父と母
姉のリン、弟のサム。両親は家計を支えるべく
朝となく昼となく働き続けます。
ケイティはリンと仲良く、そして弟を思いやり・・・
懸命に生きていきます。
やがてリンが病気になり・・・リンの思い描いていた夢
いろんなことがケイティの心をめぐります。
最後のあたりのリンのせりふが涙を誘います。
翻訳版でもいいので、多くの方に読んで欲しいと思いました。
素直な心
★★★★★
kira-kiraの主人公katieは自慢の姉をなくすというつらい経験をするが、けっしてそれで打ちのめされたままではいない。それは、たとえ貧しくとも温かい愛のある家庭にはぐぐまれた者が持つ強さであろう。心が素直で健康ならば、亡くした人の魂もまたキラキラした思い出となって私たちを支えてくれる。むやみに背伸びはしないけれど、人生について素朴な疑問を投げかけながら一生懸命生きるkatieが愛らしい。なぜか向田邦子と和子の姉妹を思い出した。