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The Global City: New York, London, Tokyo (Princeton Paperbacks)

価格: ¥4,372
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Princeton Univ Pr
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時代に翻弄されたかわいそうな本 ★★☆☆☆
本書の初版は 1991 年に出た。書かれたのは日本バブルの頂点。東京、ロンドン、ニューヨークがグローバルシティとしてなぜ台頭したか? サッセンは、従来は従属的な機能だとされていた、コンサルとか弁護士とかその他知的サービス業こそ新しい「生産」なのであると論じて、こうしたグローバルな都市こそが新たな生産拠点なのである、と論じた。デジタル化とネットは、工場と本社機能の分離は可能にするけれど、知的サービスを必要とする本社機能は集中するんだ、と。さらに、彼女は金融業に注目し、それが新しいデリバティブ商品なんかを産みだしていることを指摘し、この新しい「生産」というものの姿を描いた……つもりになっていた。そしてそれはほぼ完全に自律的なサイクルに入り、グローバル経済はこうした大都市への機能の永遠の集中、その他の部分は工場だけ持たされて貧乏のままでさらなる後退という二極分化に位置づけられるはずだった。

 が、皮肉なことに本書の初版が出ると同時に日本のバブルが崩壊。東京の地位停滞、さらに金融商品方面が大不祥事を連発して一時の元気をなくし、同時に従来型の生産機能を軸にしたアジアの急上昇、中国の台頭、バンガロール等の変な集積が次々に登場。本書の当初の分析は、ほぼ完全に崩れた。生産拠点が移行すれば、当然ながら管理機能も移転するという当然の理屈を無視した本書のダメさは、当時も明らかだったはず。2001 年に出たこの第二版では、それをなんとか取り繕うとあれこれしているものの、結局はあとづけのへりくつに終始。議論そのもののだめさ加減が次々にあらわになってしまった、いわば時代に翻弄されたかわいそうな本。いや、力作ではあるんだけれど。