しあわせ本舗。
★★★★☆
『逆説の日本史 15 近世改革編 官僚政治と吉宗の謎』の根底に流れているテーマは、六代将軍徳川家宣つまり新井白石の親政「正徳の治」・享保の改革・寛政の改革というのは幕府側つまり儒教に染まった武士の生きた経済を無視した幕政の「改革」であって、日本全体から見れば必ずしも評価できないものである。ここは東アジア史を理解するポイントでもある。徳川吉宗・松平定信の(経済の)「愚かな」部分は、ことごとく儒教「朱子学」に基づくものである。これが、荻原重秀・尾張宗春・田沼意次を「極悪人」にする「貴穀賎金」政治へとつながっている。
また、江戸時代の政治史を理解するために最も重要なポイントの一つ「江戸幕府は米本位制という誤った貨幣制度を採用していた」ということが如実に現れる。