カール・ジェンキンスのアルバム『アディエマス』のファンなら、あるいはエンヤの声とシンセサイザーをミックスしたサウンドが好きな人なら、この録音に感心すべきたくさんの点を見つけるだろう。この『リベラ』では、近接マイクを巧みに操作し、遠隔残響プログラムというのを存分に活用することによって、少年合唱隊は天上にいるかのような効果をうまく出している。曲はすべて合唱隊を指揮するロバート・プライズマンの手になるもので、彼の教会音楽のバックグラウンドが大いに役立っている――密集和声はどちらかといえば優美で、声を浮遊させることをしばしば要求される高音域でも、少年たちは上手に歌っている。プライズマン作曲でないのはパッヘルベルとタリスの有名なカノンを編曲した2曲だけで、彼はこれを巧みにアレンジしてトラックの2つに収めている。ヴォーカルは適度にハイなシンセサイザーのバックグラウンドと軽やかなビートに支えられている。歌詞は伝統的な祈祷（きとう）文から取られているが（ベアータ・ルクス、ディエス・イレ、アニュス・デイなど）、全体の効果は宗教的というよりも形式張って冷ややか感じである。（Warwick Thompson, Amazon.co.uk）