最近こういったイラストレーターをまとめた本が出ていますが、
この本はpixivならではの特性をうまく活かした本になっています。
有名絵師だけにこだわるほかの本と違い、
pixivを隅から隅までチェックしていると思わせるだけの幅広いチョイスが特徴です。

はっきりいって、イマイチ上手じゃない絵も何枚か載せてありますが、
お絵かきに対する熱量はそういう絵からのほうが感じ取られ、
読んでる方も創作欲がかき立てられます。
ページ数の割に値段が安いので、あまり損したという人はいないでしょう。
紙も分厚く、高級感があります。

ただ、有名な人の絵をたくさん見たいという人には向かないと思います。
未来のスターが埋もれている可能性はあるかもしれませんが…。

2009に引き続き、イラストSNS「pixiv」のなかから「女の子」にテーマを絞ってまとめたイラスト集。
pixivというSNSの特性上、コミック調のイラストが大多数だが、いわゆる"萌え"系以外の絵柄も収録されており、昨今のライトノベル程度には幅がある。
制服、ゴスロリ、着物……など、テーマ別にイラストが収録されているため、それぞれのイラストを比べやすい。

（なお、今回の収録作品はすべてオリジナルで、2009年度版にあった「ボーカロイド」などの版権イラストはない。）

pixiv内の企画である「ピクシブファンタジアV」「ぴくカゲU」「ぴく恋　ぴくしぶ恋街」、公募企画「お絵かき娘2009」のイラストも一部だが収録されており、pixivというSNSの流れをアーカイブした本になっている。

pixivに会員登録すればすべて無料で見ることができるイラストだが、Webは流れがはやく、また、アップされているイラストは削除されることもあるため、こうした紙媒体で1冊にまとまることには価値を感じる。


ただし、作家に断られたのか、pixiv内でも有名なイラストレーターの作品が抜けており、前回より質は大幅に落ちた印象だ。

また、冒頭のコメントは日・英・韓国・中国語に訳されているものの、各作家のコメントなどは日本語のみで、海外向けに紹介する本としては弱いと感じた。

お金に余裕があり、若い作家の女の子を描いたイラストを見たい人、紙媒体でアーカイブをとっておきたい人は買ってもよいだろう。
Webで作品を見ることができれば十分、という方にはおすすめしない。

また、仕事を頼むイラストレーターを探しているなら、現役プロが掲載され、連絡先も描いてある年鑑が数冊出ているので、そちらを先に購入することをおすすめする（ただし、どれもそれぞれの編集方針があるので、偏りはある）。

編集内容に偏りがあり、収録作品もピンキリだが、若い描き手が描く「女の子」のサンプルを数多くみる本としては参考になる。
こうした年次アーカイブは何年も続けてこそ、その当時を振り返る資料として価値が出てくるので、ほかの年鑑系書籍と同様、今後も出し続けてほしい。